取り壊される校舎が卒業していく彼女たちによって再生していく逆説~朝井リョウ著『少女は卒業しない』~
高校の卒業式というのはとても特別だ、と朝井リョウ著『少女は卒業しない』(集英社文庫、2015年。以下、本書)を読んで思った。
幼い頃から私立の学校を目指すような子は別として、小中高と地元の学校に通うごく普通の子たちは、高校卒業が初めて経験する大きな「人生の岐路」となる。
ある者は親元から通える地元の大学へ、ある者は大都市の大学へ、またある者は就職したり、中には結婚する者もいるだろう。
ひとえに「大学進学」といっても、何となく「大学くらい出ておかないと」と思っている者もいるし、