天まで届きそうな母のスワイプ
先日、久しぶりに会った母が、スマホを触っている姿を見て笑ってしまいました。
スマホをスワイプするたびに人差し指を頭の上まで飛ばしていくのです。激しいツッコミ芸人のようで、かなりクセが強めでした。
「そんなに一生懸命、弾かなくてもいいんだよ」と伝えると
ちょっと心外な感じで、そんなスワイプをしてるつもりはない。手もそんなに上げていない。と言い張ります。
①それが正解だと信じている
②ちょうどいい塩梅を間違えている
③思いきりやると気持ちいい
理由はこのうちのどれかなのでしょうが、母が気持ちよくスマホを使えりゃまぁいいか。でもああはなりたくないものだ。
心の中でそう思っていました。
フードプロセッサー
数日後、中3長女から気になることを言われました。餃子を作るときにフードプロセッサーを使っていた時のこと……
上蓋を軽く押すと刃物がまわるタイプなのですが、それを押した瞬間、長女が「圧、つよっ!!!」とバカにしたように笑っています。
どうやら私も無意識だったのですが、フタを抑える瞬間、すごい力を加えているようです。
調理具材を入れ過ぎるとガッ、ガッ!と回らなくなってしまうことがある為、「回ってくれよ」の願いもこめて、たしかに力いっぱいフタを押していたような気がします。
娘からの一言にハッとしました。
願い……母のフリック……
俺のプロセッサー=母のフリック
同じではなかろうか?
しかも①、②、③全ての要件を満たしている。
思い返してみると他にもありました。
ピンポンのあれ
スーパーなどにあるピンポンのあれです。もともとは、文具でメクボールというそうです。
私は、いつも手がカサカサでスーパーへ行くと、ビニール袋をスムーズに開けることができません。スポンジより清潔な感じがするし、これを見るとちょっと嬉しくなるのです。
先日もこれで、指を湿らせていると
「ピンポン玉飛んでいくで〜」と奥さん。
どうやらこれを見つけるや否やピンポン玉をすごい勢いで回しているようです。
指摘された瞬間、すごく恥ずかしかったのですが、これも無意識で①、②、③すべての要件を満たしています。
ピンポン玉を興奮しながら嬉しそうに愛でるおじさん。これまたクセ強くて怖い。
母のことを笑っている場合ではありません。
タッチ決済
学んだこともありました。
最近、カードがたくさんあって煩わしいのとポイ活のために、交通系カードやクレジットカードを全てスマホ内で管理するようにしました。
電車に乗るのもクレジットで買い物するのも、全てスマホのタッチだけで完結するのでとても快適です。
初めてスマホでクレジット決済したときのこと
「クレジットカードのタッチでお願いします」
カードの案内に書いてあったマニュアル通りに店員さんに伝えました。
「では、こちらにタッチどうぞ」
スマホにすでに登録されてるとはいえ、ほんとにピピっとするだけで、カード決済ができるのか少し不安です。
考えてみりゃ、電子マネーと何ら変わらないのですが、昭和生まれの私にとってクレジットカードは重みが違います。その不安が知らず知らずのうちに、圧に変わっていました。
スマホをリーダーにあまりにグリグリ押しつけているのを見兼ねた若い店員さんが笑いながら……
「スマホの端を添えるだけで決済できますよ」これぐらいとスマホの角度まで優しく教えてくれました。
その日を境に私はどんな時も優しくタッチ決済できるジェントルマンに変わりました。
人のふり見て我がふり直せ
こんな感じのクセ強行動も思い込みや焦り•不安から来るものが多いのでしょうね。
それを指摘してくれた時に耳を傾けられる心の余裕を持って日々を過ごしたいものです。
みなさんもそんなクセ強行動ありませんか?
自分が「気持ちいい!」と感じる行動や振る舞いも、相手にとっては不快に感じることもあるわけで、これからはピンポン玉を見つけても興奮することなく優しく転がしていこうと思います。
天まで届きそうなスワイプは、まさに人のふり見て我がふり直せで、時には自省することも必要なんだよという母からのメッセージ。
次会った時は、スマホのスワイプも手をとり教えてあげることにしよう。