#37 「あ゛?!💢」と思ったら。~認知症介護の為のアンガーマネジメント~
「アンガーマネジメント」という言葉をご存知だろうか?1970年代に米国で生まれた言葉だ。ザックリ言えば「怒りの管理方法」である。
この「アンガーマネジメント」、当初は犯罪大国米国で、犯罪者の怒りの感情と上手に付き合うための心理教育または心理トレーニングとして考案され活用された、犯罪者向けの「矯正プログラム」だった。
それが、時代と供に、一般的になり、昨今では企業の社内研修や各種セミナーでも多く取り入れられている。
それだけ、多くの人が、胸中に「あ゛っ?!」という、何らかの”怒り”を抱えて生きている時代になってしまったということだろう。
母の認知症に気づいた当初も、私が母に抱いた多くは「怒り」の感情だ。
実際、言葉に出したか、出さなかったかに関わらず、私は常に、母に対する怒りに打ち震えていた。そうでなくても、私は母が嫌いだったしw
できれば、母のトラブルに関わりたくなかった。母に関われば、大人になり、職業人になり、妻になり、母になったことで、ようやく折り畳んで、心の奥底へしまっておいた、母への恨み辛み悲しみの「箱」が開く。。。
それが恐かった。
しかし、認知症を発症したと思われる母の言動や行動は、いちいち、その「禁断の箱」を叩く。それを開けられまいとして、私は余計に怒りの感情を抱く。
私が怒れば、母も怒る。
母が怒れば、私は、もっと怒る。
もはや、怒りのエスカレーションでしかない。
"それはだなっ!!💢"
そう言いかけて、私はハッとした。
それを言えば、私は自分で「禁断の箱の蓋」を開けてしまうことになる。
年老いて、弱々しく小さくなった母に、現役バリバリで戦陣を切っている私が、今更、それをぶつけて何になるっ?!(それはただの虐待だろ・・・。)
”これじゃいかん・・・。”
私は、以前、社内研修であった「アンガーマネジメント講座」での一節を思い出した。それまで、相手が「自分の親」だったから、すっかり感情的になっていたけど、「アンガーマネジメント」は、身内にこそ、必要なスキルだ。
特に、子育てには、親の「アンガーマネジメント」は欠かせない。
そして、それは、親の介護にも、欠かせないスキルなんだ・・・。
改めてそう気づいた私は、「アンガーマネジメント」の観点で、母と対峙しようと思い立つ。
【 人は何故、怒りの感情を抱くのか?! 】
そもそも、「人は何故、怒りの感情を抱くのか?」
「怒りの理由」は、様々にある。
ここで大切なのは、自分に「怒りの理由がある」ということは、相手にも「怒りの理由」があるということだ。相手の「怒りの理由」を知らずして、または全否定したまま、自分の「怒りの理由」だけを、相手にぶつけても、それは、エスカレーションにしかならない。(犬の喧嘩だw)
ウクライナ戦争やイスラエル紛争が、そのいい事例だろう。
国家としてのアンガーマネジメントが崩壊しているから、戦争に至っている。(ま、もしくは、戦争したいヤツらが、世論操作でアンガーマネジメントしているのかも知れないがw)
自分も怒っている、相手も怒っている、ならば、まず、「相手が何に対して怒っているのか?」それを知り、適切な対応を取る必要がある。
「敵を知り、己を知れば、百戦あやうからず。」なのだ。
では、この事案の場合、「敵」は、「トラブルメーカーの母」か?
いや、そうではない。
母をトラブルメーカーにしている原因と思われる、「認知症」だ。
”敵は、「母」ではなく、「認知症」にありっ!!”
(まずは、”認知症”を知ることだな・・・。)
こうして、私は忙しい仕事の合間を縫うように、独学で「認知症」を勉強し始めた。
【 認知症BPSDを学ぶ。】
私の母への「アンガーマネジメント」に、最も納得のいく答えをくれたのは、『認知症BPSD』を学んだことだ。
『認知症BPSD』について、わかりやすく解説している記事がある。⬇️
但し、『認知症BPSD』を知れば知るほど、「母は認知症だな。」という、確信が大きくなって行くのも・・・、それはそれでねぇ・・・。
また、別の感情が沸いてくる。
しかし『認知症BPSD』を学ぶことで、適切な対応が取れるとわかり、私の「アンガーマネジメント」は、成功した。
認知症かどうかわからないけど、親の不穏な言動や行動に「あ゛っ?!💢」と思ったら、怒りがエスカレーションしないうちに、『認知症BPSD』で検索して欲しい。
適切な認知症介護は、そこからはじまる。
お医者さんでも、施設でもない、認知症介護は、いつでも”家庭”からはじまるのだ。
~認知症BPSD対応に役立った書籍~