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【売れるマーケ】笑顔と気配りで、繁盛店に!
自宅から車で30分ほどのところに、
中華料理店があります。
カウンター10席、
3~4人が座れる座敷2つほどの小さなお店です。
ごくごく一般的な町中の中華屋さんです。
ラーメン、ギョウザ、チャーハン、酢豚、八宝菜など、
けっして高級中華ではないメニューのお店です。
ここがやたらと混んでいます。
お昼は11時過ぎから、
夕方は5時くらいから混み始めます。
お店の前は、車や自転車がいっぱいになります。
どうして、これほどまで流行っているのでしょう。
「超」がつくほど美味しいから?
いいえ、味は中の上くらいです。
うまみ調味料(化学調味料)も使っています。
高級な味でも、上品な味でもありません。
たしかに、この地域では一番美味しいかもしれませんが。
しかし、それだけでは繁盛しません。
私も何度か足を運びましたが、
その秘密はすぐにわかりました。
従業員の応対なのです。
中に入ると、“いらっしゃいませ”という明るい声が、
店主も含めた5人の従業員全員から聞こえてくるのです。
思わずこちらから“こんにちは”と言ってしまいます。
すぐに、お店を仕切っている若い女性が席へ案内します。
と言っても、狭いお店なので、
手で招いて“こちらにどうぞ”と言うだけですが。
すると、違う女性が、
すぐによく冷えたお水を出してくれます。
そこで、“ご注文は?”などとは聞きません。
“お決まりになりましたら、お声をかけてください”
とも言いません。
しかし、注文していないにもかかわらず、
まだ小さかった息子の前には、
子供用のお碗とスプーンを用意してくれました。
なんて気の利く従業員だと思いました。
メニューを選んで、注文しようとしたその瞬間、
まさに声をかけようとした時です。
“お決まりですか?”と聞いてくれました。
この女性は、こちらの動きをちゃんと見ているのです。
あまりにもタイミングがいいのです。
見事としか言えません。
だから、“お声をかけて”とも言わなかったのです。
しかもこの女性、ものすごくいい笑顔なのです。
失礼ながら、美形でもないし、
ハッキリ言って身体も大きいし。
でも、とんでもない笑顔なのです。
変な言い方ですが、「悩みは何もないのか」
と思えるくらいニコニコしているのです。
この笑顔です、客商売に必要なのは。
この女性を見ているだけで、
こちらまでニコニコしてしまいます。
本当のところはわかりませんが、
作られた笑顔には見えないのです。
私たちは、カウンター席にいました。
注文してしばらくした時、座敷のお客が帰りました。
その時、すかさずお店を仕切っている女性が、
やはり笑顔で、“あちらの席に替わりませんか?”
と声をかけてくれたのです。
けっして丁寧な言葉ではありませんが、
家族連れなので、気を遣ってくれているのです。
私たちは移動しました。
お店にとっては、とても面倒なことなのです。
そのままなら、片づけも慌てなくていいのに、
私たちを移動させるために、
すぐにやらなければいけません。
テーブルのお水も運ぶ必要があります。
しかし、ここの女性たちはニコニコと、
その作業をこなします。
こんなことをされると、お客としてはとても感動します。
ゆったりと食事できる、
ということをことさら嬉しく思うのです。
最初から座敷に座っていたら、
何も感じなかったでしょう。
自分たちが、とても大切にされている、と感じます。
このお店は、
お客さまを本当に大切に思っているのでしょう。
従業員の応対を見ていると、
自然にそれができているのです。
最近、こんなお店はなかなかありません。
高級店ではあったとしても、
それなりに高いお金が必要です。
それに、笑顔も“ほどほど”でしかありません。
多くのお店が、店の都合ばかりを考えて応対しています。
接客しやすい席から埋めようとします。
手間をかけないようにします。
途中で席を替わらせるなんてことは、
言われない限りしません。
こんなお店が、繁盛するわけがありません。
しかも、こんなお店には決まって笑顔がありません。
笑顔がない、気配りがない………繁盛はない!
私は、この中華料理店のファンです。
あの笑顔を見たいがために、足を運びます。
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