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観劇感想

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#舞台

[舞台感想] ラブ・ネバー・ダイ:美はその対価ゆえに美なのか

[舞台感想] ラブ・ネバー・ダイ:美はその対価ゆえに美なのか

 どのバージョンであるにしろ、この、ベルエポックの時代の、クリスティーヌという天賦の歌姫と辛いハンデを背負った才能の塊のファントムと、それに巻き込まれる人々がうごめく世界観が大好きなんだなと、改めて気付かされたという話です。2回観た感想でがっつりネタバレします。

概要

 オペラ座の騒動から10年後の米国。マダム・ジリーとその娘のメグ・ジリーはファントムを匿ってニューヨークの海岸のサーカスのよう

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[観劇感想] ミュージカルSIX (来日版):みんな違ってみんな良すぎるQueens

[観劇感想] ミュージカルSIX (来日版):みんな違ってみんな良すぎるQueens

 楽曲の一部とYouTubeの断片的な情報しかなかったにもかかわらず、リピーターのような気分で観に行ったところ、思ったよりめっちゃわかりやすくて面白い作品やん、となった話です。 
 ネタバレします。

概要

 ヘンリー8世の6人の(元)妃たち(キャサリン・オブ・アラゴン、アン・ブーリン、ジェーン・シーモア、アナ・オブ・クレーブス、キャサリン・ハワード、キャサリン・パー)が、グループを結成して各ソ

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[舞台感想] セツアンの善人

[舞台感想] セツアンの善人

概要

 「三文オペラ」で教科書に出てくるブレヒトの寓意劇。神様が地上で見つけた善人が主人公のシェン・テ。彼女が、貧しい村の人達から搾取されたり自身の幸福を追求したりするのと善人でいることを両立させるために解決策を編み出したものの、それに引き裂かれる中で果たして善人とは、を問い続けるものの神様は答えを与えない、というストーリー。繰り返し上演されているようですが、今年は葵わかなが主人公、その恋人でト

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[ブロードウェイ感想]Enemy of People

[ブロードウェイ感想]Enemy of People

 米国留学中〆にふさわしいものとして最後に観た舞台になります。既に閉幕から3か月ほど経っているので思いっきりネタバレします。

概要

 温泉が見つかったノルウェーの村を舞台にしたイプセンの戯曲「民衆の敵」をベースにした舞台。ストーリーは、温泉による経済効果で活気づく村の医師が、温泉が汚染されていることを科学的に見つけたところから始まる。医師は、村の人々や観光客の命を守るためと一刻も早い公表を訴え

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[ブロードウェイ感想] CHICAGO

[ブロードウェイ感想] CHICAGO

概要

 舞台はそのままシカゴ。実話が元ネタという、殺人を犯した女性2人がメディアと弁護士のビジネスの食い物にされながらスポットライトを求めて生き抜いていく、という辛めのコメディタッチでテンポの良いストーリー。シンプルだけれども凝った構造の舞台、黒のミニマムな衣装、終始シニカルな音楽とダンス、人間の身体だけでこれだけの表現ができるのかという感動を覚えました。なんとなく音楽とストーリーの動かし方にH

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