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とにかく本の話がしたい

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面白い本を読んだ話。ヤバい本を買った話。
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【本の感想】室生犀星『生涯の垣根』

【本の感想】室生犀星『生涯の垣根』

室生犀星『生涯の垣根』が好きだ。何の気なしに選んで読んでみたのだが、これが私の好みにぴったりだった。

青空文庫でも読める。

でもやはりこれは縦書きで紙で読みたい。田畑書店さんのポケットアンソロジーになっているのでそちらがオススメです。

犀星らしき人物と、庭師の民さんの交流がいい。長い年月を過ごすひととひと。信頼。それぞれの人生の交錯。そして犀星の庭へのこだわり、そのこだわりを反映された庭が、

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【本の感想】薬物ダメ!絶対。な小説の金字塔『スキャナー・ダークリー』が凄い!

【本の感想】薬物ダメ!絶対。な小説の金字塔『スキャナー・ダークリー』が凄い!

フィリップ・K・ディックといえば映画『ブレードランナー』の原作になった『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で有名な大人気SF作家ですよね。私は長らく「このタイトルからしてややこしそうだな」と思って避けていた作家のひとりです。ところが!この『スキャナー・ダークリー』はめちゃくちゃ面白い!という評判を聞き、表紙のカッコよさにも惹かれて読んでみました。……これは!確かに凄い!!

読後の興奮のままにP

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【本の感想】松田修『尼人』

【本の感想】松田修『尼人』

現代美術作家の松田修さんの自伝的エッセイのような本『尼人』(イースト・プレス)を読み終わった。これ一冊が著者のポートフォリオのように感じた。この本自体が現代美術の作品とも捉えたら妄想が膨らんできた。刷られた本が置かれた瞬間にそこが「現代美術を詐欺だと思っている尼崎在住のおかんに現代美術とは何かを説明する本のあるインスタレーション」となり、本屋も読者も作品を構成する一部として取り込まれる……なんて。

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【買ったヤバい本の話】『木造建築読本』

【買ったヤバい本の話】『木造建築読本』

古本屋でまた昔のニッチすぎる本を見つけた。かなりボロボロなのに千円くらいしたのだが、思わず買ってしまった。

『木造建築読本』これさえ読めば木造建築の基礎が分かるようだ。帯に"初めて学ぶ人を対象とし"とか"日曜大工諸君の手引として"などと書かれている。つまりこれさえ読めば私にも木造の家が建てられる……のか!?

さっそく中を見てみよう。

まずは木材の種類からレクチャーしてくれるようだ。なるほど分

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【本の感想】『七面鳥 山、父、子、山』

【本の感想】『七面鳥 山、父、子、山』

謎のおフランス帰り音楽ユニットとして一部の熱狂的ファンに支持されるレ・ロマネスク。私も彼らの楽曲には大いに影響を受けてきた。例えばあの名曲『祝っていた』

私は性格が悪くネガティブなのでしょっちゅう人を呪いたくなるのだが、そんなときはこの名曲を脳内で合唱し、全人類を祝い寿ぐ気持ちになるのだ。なんという愛と平和とマヌケさに満ち溢れた楽曲であろうか。

そんな珍妙な名曲を連発しているレ・ロマネスクのボ

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テレビの修理の本を買う

テレビの修理の本を買う

お給料が出たので、大好きな古本屋に行った。最近流行りのお洒落なお店や文学なお店ではなく、昭和の時代から変わっていない、店の半分はビニ本、後の半分は文芸あり画集あり宗教書あり哲学書あり漫画あり何でもありの小汚ない店だ。

そこで見つけて思わず買ってしまった、この本。

私は電気屋さんではない。家のテレビはプラズマテレビだ。実際にこの本を使ってテレビを修理することは一生ない。

なのに「うわぁ!こんな

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