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【本の感想】室生犀星『生涯の垣根』

室生犀星『生涯の垣根』が好きだ。何の気なしに選んで読んでみたのだが、これが私の好みにぴったりだった。

青空文庫でも読める。

でもやはりこれは縦書きで紙で読みたい。田畑書店さんのポケットアンソロジーになっているのでそちらがオススメです。


犀星らしき人物と、庭師の民さんの交流がいい。長い年月を過ごすひととひと。信頼。それぞれの人生の交錯。そして犀星の庭へのこだわり、そのこだわりを反映された庭が、まるで登場人物のひとりのようだ。

特に冒頭の土の描写がいい。思わず土に触れたくなるけれど、触れて跡をつけると犀星先生に怒られるなぁとも思う。質感が伝わるようでありながら、軽々しく触れない禁域のようにも感じさせる。

民さんはどう思っているか分からないが、犀星らしき人物の民さんへの絶大な信頼や親近感がよかった。同志のような師のような。

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