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ビジネスの今昔・ペットとの共生
明治のビジネス・伝便屋(でんびんや)
松本清張作の『ある小倉日記外伝』の主人公田上耕作は、早朝にチリンチリンと言う鈴の音で目を覚まします。この音は「伝便屋(でんびんや)」という生業(なりわい)の人が鳴らす鈴の音だったのです。
明治の当時は郵便制度は確立されてはいたものの、郵便は明日だとか明後日であれば十分に間に合うのですが、今日の夕方の逢引きの連絡は郵便では間に合わないので、この隙間を埋める生業が「伝便屋」だったのです。
今で言う隙間ビジネスといったところでしょう。
早朝から鈴を鳴らして伝便の注文を受け、その日のうちにこの伝便を相手先に届けたり、懇意の店で求めた商品をその日のうちに自宅まで届けてもらうために利用されていたのです。
私も清張のこの小説を読んで初めて、明治の頃にこんな生業があったということを知り驚きました。
電話もファックスもインターネットもない時代でしたから、この「伝便屋」は結構重宝されていたのではないかと想像しております。
沖縄の古いビジネス・インクルサー
この鈴を振りながら伝便を届ける「伝便屋」に対しこれの対極にあるのが、次に述べるインクルサー( 沖縄の方言で野犬を捕獲する者)です。
私の幼少の頃、町には「インクルサー」と呼ぶ野犬捕獲業者がおりました。当時の町の保健所から委嘱されていたものと思います。
インクルサーが通ると、私達子どもは、その後をゾロゾロついて行き、犬が捕獲される場面を興味深く見つめていました。
しかしながら、犬達もインクルサーが来ると、早々とどこかへ逃げてしまうので、なかなか捕獲の場面を見ることはできませんでした。
当時の沖縄は動物愛護管理法も施行されていなかったので、動物愛護の精神も薄く、又飼い犬も放し飼いが多かったので、飼い犬なのか野良犬なのかの判断は難しかったのではと思います。
インクルサーは、野良犬を見つけると、針金を首にかけ、暴れる犬を捕獲用の箱に入れて保健所に連れて行きましたが、さすがに私達も殺処分の現場は見ることはできませんでした。
当時、インクルサーという生業は、子ども達の目には格好良い仕事に写り、中には「将来インクルサーになりたい。」とあこがれる子どもも結構いたことを覚えております。
我が家の愛犬
我が家のある地区は、防風林のあるところで、防風林はいい捨て場所なのか、犬や猫の子がよく捨てられるところでした。
引っ越ししてしばらくすると、子ども達が雑種の捨て犬を見つけ飼い始めました。
これが我が家の飼い犬、1代目「コロ」です。次の2代目「コロ 」もやはり子どもの友人から分けてもらった雑種犬でした。
1代目、2代目の「コロ」は露地飼いだったので、予防注射はしていたもののフィラリアに罹患しあえなく死んでしまいました。
3代目はペットショップから購入した牡のチワワでした。このチワワは8月に我が家に来ましたので「葉月(はづき)」と名付けられ、初めて室内で飼われることとなりました。
ところが、この葉月、やたらに家族の誰彼の見境もなく噛み付くのには閉口しました。
飼っているうちに、噛み癖もそのうち改善するかと思っていたのです。ところが、何年経ってもこの葉月の噛み癖は改善しなかったのです。葉月は平成25年、13歳で犬としての長寿を全うし昇天しました。
犬の臨終に至るまでの介護は大変でしたし、介護は犬も人間も同じです。犬の紙おむつまであることがこのことを示唆しています。
葉月の介護を経験した妻は、「もう犬を飼うのはこりごり。」と言って4代目を飼うことに頑なに反対しております。
こんな事情で犬好きの我が家に未だに4代目が登場しないのです。
犬の問題行動の原因は?
「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、段階的に施行されることになり、2021年6月1日より、幼齢の犬猫に対して販売日数が規制されることになりました。
これまでは7週齢(生後49日)規制にとどまっていたものから、1週間延長され、8週齢(生後56日)となり、この期間を子犬・子猫は母親やきょうだいと過ごすことになります。
子犬や子猫も、母親やきょうだいと過ごすことで社会性が養われ、成長後の問題行動が少なくなるとのことです。
基本的に犬や猫も人間と同じです。人の子だって幼少期に親から離されて育てられますと、大人になって問題行動を起こすのです。
我が家に3代目として飼われた「葉月」の噛み癖がひどかったことは先に述べましたが、葉月も生まれてまもなく母親やきょうだいと過ごすことが極めて短かったことで、あんなにひどい噛み癖を身につけたのかなあと推測しています。
今後もし4代目の犬を飼う場合には、母親ときょうだいとたっぷり過ごした社会性を身につけた子犬を選択し、犬との共生を心がけたいと思います。
伝便屋鋳掛屋(いかけや)羅宇屋(らうや)インクルサー
生まれては消ゆ人のビジネス(短歌)
愛犬に越し方語る年の暮(俳句)
愛犬と目線ぴったり車椅子(川柳)
インクルサーになりたい言うて叱られる(川柳)
農家の子お蚕様を怖がりぬ(川柳)
※鋳掛屋 なべ・かまの修理する人
※羅宇屋 きせるのつまりを掃除する人