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#月刊撚り糸
異星人とペティナイフ #月刊撚り糸
まさか押し倒す側になるとは思わなかったが、見下ろした佐竹の白いおでこが意外にも優越感を刺激して。
「ちょっと、可愛く嫌がってみて」
「突然の無理難題だね。そんな高等テク持ってないよ」
いつも笑顔を崩さない佐竹の呆れたような、困ったような表情に征服欲まで掻き立てられる。これは癖になるな、と思いながら何気なく髪に触れると、佐竹が私の肩を押して上半身を起こした。
「なんだ、嫌なの」
「好きな子に
黒い真珠 #月刊撚り糸
青い空がどこまでも続いている。太陽はいつまでも降り注いでいる。椰子の木はどこまでも連なっている。ぽっかりとインド洋に浮かぶこの島には春夏秋冬なんてない。あるのは乾季と雨季くらいで、かと言って乾季から雨季になって何が変わるという訳でもない。天がしょっちゅうバケツをひっくり返したところで太陽はまた空を割って降り注ぐのだし、椰子の木々は変わらず連なり葉を耀かせている。気温だって一年通して概ね28度の辺り
もっとみる夕焼けに煙る【短編小説】#月刊撚り糸
涙が出そうになった。ヤマさんが吐き出す煙草の煙が目に染みる。煙の中にいるのは嫌いじゃないけれど、閉め切られた車内は暖房が効きすぎて、すこし息が詰まる。横目で覗き見てみると、吸っている銘柄がセブンスターで、昔から変わっていないことに驚いた。一途さはこういうところにも表れるものなのかもしれない。
「窓、開けてもいい?」わたしが尋ねると、
「ごめん、煙たかった?」そう言って、ヤマさんは視線を前に向けた