板倉 市佳

板倉市佳と申します。 主に推理小説を投稿しております。 皆さんの風が靡く草原のような広いお心で読んでいただけたら幸いです。 よろしくお願いいたします。

板倉 市佳

板倉市佳と申します。 主に推理小説を投稿しております。 皆さんの風が靡く草原のような広いお心で読んでいただけたら幸いです。 よろしくお願いいたします。

最近の記事

「天使に媚薬」 第三話 #創作大賞2024 #漫画原作部門

夜。 楓の部屋にて、楓がベッドに仰向けになって考え事をしている。 楓:(あの時、マリさんは翼を燃やされて善行1万回を言い渡されていたな…… 1万回が終わったらまた翼を授けられるのかな…… そしたらここからいなくなるのか? いや、そもそもパスポート紛失したってことになっているから、それに合わせてここを出ていくつもりなのか……? ) 楓は一人で考えて考えて悶々としていた。 楓:(今頃、隣の部屋で寝ているのかな…… マリさん) 顔を赤らめる楓。 楓:(寝よう) 夜空に月と星座が瞬く

    • 「天使に媚薬」 第二話 #創作大賞2024 #漫画原作部門

      マリー:「おはようございます、楓くん」 寝ぐせが沢山ある状態で部屋から出てきた楓は当然のように朝ごはんを並べているマリーに面食らった。 楓:(そうだ、うちにいるんだった。年頃の女の子と一緒に暮らす、それはつまり…… その…… 色々と弁えなければならないということだ。いろんな意味で) 浩人:「マリさんは昨日よく寝むれたかい? 」 マリー:「ええ、ぐっすりです。浩人さん、改めましてこの度はありがとうございます。お世話になります」 浩人:「いやいや、礼を言うのはこっちの方ですよ。大

      • 「天使に媚薬」 第一話 #創作大賞2024#漫画原作部門

        <あらすじ>  いつものように薬を調合していた天使マリー。しかし出来上がったのは天使にとって禁忌とされる媚薬だった。  媚薬を隠し持つことになったマリーは地上で巡回中に媚薬を紛失してしまう。  一方高校生の島波楓は画家になりたいと思いながらスランプ中で父親とは喧嘩真っ最中だ。  ひょんなことからマリーの媚薬を楓が拾い、そのまま持って行ってしまう。  伝説の魔女の兆候と媚薬、マリーと楓。それぞれが成長するに従って過去との摩擦と自身との向き合いに奔走する。 <登場人物> 1)天

        • コーズ・ストーリー 第二話 #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

           キャリーケースの中身を一通り見渡して、琉乃は溜息をつく。 「一国の主(あるじ)にたてつくなんて、しかもわたしは医師免許を剥奪され    たような人間なのに…   あ―‼ どうしよう… 」  かちゃかちゃ、と漁る音と共に先日から琉乃の脳裏にはある事柄があった。 「千年以上前の大地震があった、って言ってたわよね。  恐らくそれがわたしがここにタイムスリップするときに起こった地震と仮定するとなると、あの時がいまこの世界が構築されるタイミングだったといえるわね」 「お前は独り

          コーズ・ストーリー 第一話 #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

          <あらすじ>   時は2222年の日本。   あることがきっかけで国から医師免許を剥奪されてしまった東乃宮琉    乃。   自死を決意するがひょんなことがきっかけで、いざなわれたかのように  3333年にタイムスリップしてしまう。   そこは残された文明と後退化した未来だった。   そこで巻込まれる事件を解決していく中で琉乃は自身の身の回りの秘密  を知ることになる。   未来の国の主(あるじ)である壮馬の抱えているもの、そして琉乃の身  に振りかかる運命は偶然か必然か。

          コーズ・ストーリー 第一話 #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

          アーリィ・アーサー~碧のL~ #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

          <あらすじ>  最近頻繁にみる夢。身近に起こる不思議な出来事。  それはLのモニュメントをつけた鷹から不自然な季節の雪と蛍。  他人とは距離を置きたがる才色兼備の哀莉は同じクラスの緑川と距離を縮めていく。  緑川を知っていく内に哀莉は自分の真に気付いていく。それは決して抗えないこと。  不可解な自然現象と周囲の感情。  そして必然的にいざなわれ哀莉は緑川と共にRe:Earthという異世界へといざなわれ、そこでの冒険が待っていた。  そこで哀莉は自身の過ちの闇、緑川自身もそれと

          アーリィ・アーサー~碧のL~ #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

          「ぬか」

          思い描いたものと違う道となり   捨てる   苦い酸味の想いがのしかかり調整がとれなくなっては   捨てる   幾度の挫折を思い浮かべては   何故、僕はこの道を選んだのだろうと   不意に想い立ち止まり   しかし立ち止まることさえも許されない背景と   初めてきみと出逢ってから9年の歳月に 僕は問うよ   「あの時の答えはでた?」   理由なんていらないさ   YESかNOか、だけでいい   それだけでいい 教えてくれないか   すると必然的に僕にも答えが導かれる気がして

          回憶録 世の常人の常「微意<中編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

          <中編>  あれから僕は数日間寝込んですっかりよくなった。零華の差し入れのプロポリスも一役買ってくれた。 「病み上がりなんですから無理しなくてよろしいのですのよ。わたくし一人で来れましたわ」 「いいんだよ。少しものお礼として付き合わせてもらうよ」  こんなところに何の用があるというのだろう。零華は神宮寺絢が落ちた現場であるコンサートホールの裏に来ていた。ここはまだ立ち入り禁止なのだが安武警部に特別許可をもらっていた。風が吹いて各々の過去を思い出させる処方箋のようだった。零華

          回憶録 世の常人の常「微意<中編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

          回憶録 世の常人の常「That day」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          「That day」   雨音の確率は実にランダムで 僕の心を掻き乱す理由になるんだ   「痛くない? 」 病弱なぼくに背中をさすってくれる君の手こそが 僕の万病の薬だよ   君は滲んだ眼をして僕に笑いかけてくれるんだ   幼君と僕は病室から雨を眺めては 時の流れの違和感を感じていた   そしてそれは 決して抗うことの出来ないことなのだと、 幼くとも、きっとそうなのだと…   君の手の中にはいつもアガサの本があったね   「アガサの本のイメージはイエローなの」   君が言っ

          回憶録 世の常人の常「That day」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          回憶録 世の常人の常「あの日」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          「あの日」       幼い頃の君 いつも泣いていた         時折笑顔みせては そう 照れ隠し                  傷をつくる僕に 手当てし背中をさする               その度君は 心に傷をつくっていた                    雨の宮 肩寄り添い それだけで                  満たされていた けれど そこからの                続く道 手に入れて                 君の涙 拭う為  

          回憶録 世の常人の常「あの日」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          回憶録 世の常人の常「あの娘(こ)/あの人間(ひと)」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          「あの娘(こ)/あの人間(ひと)」     水面に浮かぶ 二人   背を向け合いながら   一人は水面にもたれかかるように座り   もう一人は三の角を型どり座る   夜空には朧げな月と   周囲には注ぐ森林   静寂の中 想い—       あの娘(こ)が嫌がること言って 傷付く顔を見ること好物   その位当たり前 いつもちやほやされて いい気になっているから     / あの人間(ひと)の言動など真意ではない   それ以上にわたしはわたしの道を失って   はいけない  

          回憶録 世の常人の常「あの娘(こ)/あの人間(ひと)」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          回憶録 世の常人の常「人間ごっこ」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          「人間ごっこ」 悩みを打ち明けるなんて、人間ごっこ ただひとはその過程に酔いしれる   他人に指さされることが恐ろしいから 逃げることを正当化するために   自身が敗者になることを受け入れられず 逃げることを正当化するためには   試行錯誤した結果 悩みを打ち明ける   それはわたしの過去   ただ、わたしは本当に格好悪くて   あの頃、鴉が同胞にさえ思えた   鳩のクリプトコッカスにさえ、共感する   平和の象徴さえも貶める感染症   元気出しなよ 大丈夫だよ   本当に

          回憶録 世の常人の常「人間ごっこ」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門

          回憶録 世の常人の常「微意<後編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

           <後編>  協奏曲は終盤を迎えている。  火山が噴火した、その頃だった。協奏曲のモデルとなった原詩は零華から本を借りて僕は読んでいた。神宮寺絢の追悼コンサートは客の入りも良く、来賓席には世界的に有名な奏者の面々が連なっていた。同時にオーケストラのメンバーは予定外の緊張感にも包まれていた。世界的な奏者がいるこの場で結果を出せたら自分たちにも声がかかるかもしれない、その場をこのオーケストラのメンバーに与えたという神宮寺絢の功績・人脈の凄さを目の当たりにしているのだろう。  演

          回憶録 世の常人の常「微意<後編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

          回憶録 世の常人の常「微意<前編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

            <あらすじ>  確か…希、 「Hope。何故わたくしに見透かされたのか、不思議なことなど微塵もありませんわ」 ひとの言動からすべてを見抜くその女性、北大路零華。藤井柊斗医師と兼ねてから馴染みのある仲柄でその日は共にオーケストラ鑑賞へと訪れていた。 その会場では飛び降り自殺されたとみられる遺体が発見される。 現場へと向かう2人。その遺体を目の前に零華は呟く。 「翡翠に血を飲ませる……、飲ませる…… 」と。 零華の描き出す詩の数々。その詩々はなにを言いたいのだろう。なにをみ

          回憶録 世の常人の常「微意<前編>」#創作大賞2023#ミステリー小説部門

          回憶録 世の常人の常 case.6「Butterfly」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門 

          胸倉を掴むその男 なにやら相手といがみ合う ひとつの街燈が彼らを写し出す 俺はただ、傍観していた      違うよ 俺は気付いていた その男と相手は俺だった   夜行性の美しい蝶が、辺りに舞っている   終了の鐘(ゴング)が、リング内に響く 「勝者、青― 」 レフリーに誘(いざな)われ、相手選手の右手が高々と導かれる ―また、負けた…   場内の歓声を横目に、俺は伏し目がちで 誰も俺のことを目線に入れるな 滴る汗と共に、俺はただ足下を見続けることしか出来なかった ―俺にはボク

          回憶録 世の常人の常 case.6「Butterfly」#創作大賞2023#オールカテゴリ部門 

          微意 ChapterⅠ④(連載推理小説)

           ご遺体は即死のようだった。  美しいワイン色のドレスを着込み強く打ち付けた頭部からは致命傷となった激しく滲み出た血液と同化している。  屋上からはご遺体のものとおもわれる靴が屋上から綺麗に並んで残されてあった。 「死後硬直からして約6時間は経過していますね」  悲惨なご遺体を目の前に零華は辺りに居ては近寄って眉間に皺を寄せている。 「零華さんは会場に戻っていた方がいい。もうすぐ警察も来るし早々に引き渡して退散しようじゃないか。なにしろ遺体なんて一般人がじろじろ見るものじゃな

          微意 ChapterⅠ④(連載推理小説)