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【詩】鬼ごっこ



目が覚めると、目の前にはどこか見慣れたような気がする運動場、まわりは走っている音がして、それを横目に歩き出す、鉄棒とか、縁石とか、コンクリートの道路とか、踏み出した一歩は、なんだか重怠い。
白衣を着た顔のない案内人、その後ろに着いて行く、校舎の端へ進んでいき、次第に日影が多くなる、死角になった瞬間に、壁に飲み込まれる。
こちらを見てる、2つの影、互いに溶け合って絡み合って、こちらを見てる、睨んでいる、何も言わない喋らない、溶けて溶けて溶けて、その手がこちらに伸びてくる、
でも、一瞬怖がっているようにも見えたから、その手を払い退けるのはやめた。
動かないで、受け入れたらよかったかな、
走り出しても、心臓は重いから、
すぐに息が上がってしまう、呼吸整えて、
走り出して、人間だからできること。
当たり前が当たり前じゃないなら、
たぶん、もうちょっと自由でいられたかもしれない、
最期は、きっと、影すら溶け切って、
存在するきみを抱きしめてあげられたらいい。

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