マガジンのカバー画像

この日常がいつか「あの頃」になっちゃうってわかってても、

11
2ndアルバム的なやつです。言ってて恥ずかしいです。大学生の終電に乗って社会人の始発に乗ってるみたいな時期のエッセイを集めました。今回も上から順に読んでもらうとより面白くなるよう…
運営しているクリエイター

記事一覧

みっちーさん、ごめんなさい。

みっちーさん、ごめんなさい。

 突然で恐縮ですが、私の大好きな先輩"みっちーさん"にこの場を借りて謝罪したいと思います。LINEとか直接会うなんて、そんな古い手段は使いません。数年後、note謝罪が主流になる時代が来ることに賭けて、パイオニアになってみせます。

 まず、みっちーさんのご説明からさせていただきましょう。端的に言うと、”大学のサークルで出会っためっちゃ仲いい先輩”です。そして、エピソード集だけで1冊出版できると確

もっとみる
フムス

フムス

 イタリアンをいただく機会があった。学生時代は、いかにハイボールが安い店を探すかこそ正義だと思い込んでいた私にとって、しっかりと佇むイタリアンレストランのコース料理というだけで背筋がピンとする。

 「こちらフムスになります」

 「うわあ美味しそう…!!」
 向かいに座る同期がそう言った。

 …

 …

 …

 「ん?フ・ム・ス??」

 この謎の「…」3連続で上のような感情にならず「え?

もっとみる
2月29日

2月29日

 2月29日になると、思い出す人たちがいる。

 遡ること12年前、2012年2月29日の話。親の都合で10年過ごした大阪の街を同年の1か月後に離れることになっていた。子どもにとって、ある種社会の崩壊と言える「転校」。小学4年生だった私は、自分ごとになるなんて想像すらしていなかった。その日は水曜日。5時間目を終わらせて全速力で家に帰り、ランドセルを投げ捨ててビデオカメラを拵えて自転車を走らせる。小

もっとみる
父と老眼鏡

父と老眼鏡

 2024.7/24 17:16
 「ついに老眼鏡購入。本が読めるー」

 ふと届いた父のLINE。その下には老眼鏡をかけた父の自撮り写真。53の父の自撮りほど観てられないものはないが最近は容姿に自信が出てきたのか、よく送ってくる。ただそれがどこか愛しい。父に愛しいなんて言いたくないけど、そのフェーズを超えて言う。父は愛しい。

 ただ愛しさよりも勝った感情がある。

 そう「悔しさ」だ。

 父

もっとみる
VS 人生初おしゃれBAR

VS 人生初おしゃれBAR

 Googleカレンダーに書かれた「おしゃれなバーに行こうの会@恵比寿」の文字に心を躍らせる。社会人が始まってから最もエレガントで、最もセンシティブで、最もフェティッシュな予定でいかせていただけそうだったからだ。かつて、東京のおしゃれイタリアンで「フムス」という謎の食べ物と対峙し、大恥をかいた私にとって若干の畏怖はあるものの、そんなことは言ってられない。さあ、「おしゃれ」社会人への道シリーズ第2章

もっとみる
まねごとのまねごと #習作短歌

まねごとのまねごと #習作短歌

みなさま

お世話になっております。
いとうかいです。

表題の件、短歌を考えさせていただきました。
以下にて詳細を記しております。
ご確認ください。

引き続き、何卒よろしくお願いいたします。

失恋しても、部屋は狭い。

失恋しても、部屋は狭い。

失恋しても部屋は狭いままだった。

 卓上のメモ帳に残されていたこの言葉。きっと自分のペンで書かれたものなんだろうけど、覚えていない。いつ書いたのか、どのような状況で書いたのか。どれだけ酔っ払っても記憶を飛ばすタイプでもないし、なんなんだろうかこの言葉…同じように、私の部屋には、記憶にはないけど私が残したに違いない言葉がたくさん転がっている。

 ギターケースの中に取り残されていた言葉を見つけた。

もっとみる
君がELLEGARDEN好きってもうちょっと早く知りたかったよ。

君がELLEGARDEN好きってもうちょっと早く知りたかったよ。

 今日ここにくるのが最後なんだよね。今まで本当にありがとう。そう伝えて授業を終える。するとそいつは、教室からすごい勢いで出てきて「僕、ELLEGARDENがすごい好きなんです」って。どうしたんだよ急に…けどいいじゃん。わかってるじゃん。あのカッコいいバンドが好きだなんていい趣味してるなぁ。1番好きな曲はSalamanderって?最高じゃん!昔俺がバニラズの話をしてたのを聴いて音楽とか邦ロック好きな

もっとみる
DAY2/

DAY2/

 東京生活2日目。地下鉄に揺られて、いつもと違う駅で降りてみたら、結局PASMOチャージし忘れて、はいやり直し!THE2の古舘佑太郎が観客を煽ったところで、現実的に落ち込むフェーズがすぐにやってきた。新生活に慣れず、自分の鈍臭さに愕然とする。東京メトロのホームに吹く風が強すぎて、鏡の前でセットした前髪と布団の中でセットしたマインドの原型がなくなる感覚がわかる。

 東京生活2日目。大学の友だちはほ

もっとみる
卒業

卒業

 お便りきてます。ラジオネーム「バニーバックス」さん。『みなさんこんばんは』こんばんは。『3月も中旬。最近、毎日、誰かしらの卒業写真がインスタのストーリーに上がっていて、ああ卒業シーズンだな〜としみじみしています。DJいかちゃんにとって「卒業」ってどんなものなんですか?』

 ということで、いつもメールありがとうございます。なるほどねぇ、「卒業」かぁ。私は卒業式ガチ勢でしたもんで、かなり思い入れは

もっとみる
3年後、LAにて。

3年後、LAにて。

 あまりにもいつも通りのまま帰宅して、疲れのあまりコンタクトレンズも外さずに寝る。朝起きて世界はそのまま進んでいて、新幹線も動いていて、大好きな街を離れ東京駅の看板が目に飛び込む。

 学生時代の大半を過ごした人たちとの学生時代最後の旅行だと言うから、湿っぽい話もたくさんして、本当のことも話そうと思っていた。けど、いつも通り、美味しいものを美味しいと叫び、たくさんのお酒に浸り、くだらない話で笑い、

もっとみる