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南方熊楠とトマス・ヤング

以前、NHKの『知恵泉』の南方熊楠(1867-1921)特集を観た。

天才として伝説化される熊楠だが、実は一つの分野に集中するのが苦手で、そのため出世できなかったと説明されていた。

 

似たようなタイプの人に、トマス・ヤング(英・1773-1829)がいる。

若き天才として名を馳せたものの、手広くやり過ぎて、思ったほどの業績は残せなかったようだ。

もともと医学者なのだが、そこから物理学に向かい、さらにロゼッタストーンの解読にも挑戦した。

モーリス・ポープ『古代文字の世界』(講談社学術文庫)によると、ヤングは「不平不満の人」で、後世に名を残すことに必死だったという。

この本で彼は完全に、厄介なシロウトとして切り捨てられている。

 

そうなると、熊楠の立場も安泰ではない。

たとえば晩年の粘菌研究への没頭は、何か驚嘆すべき事柄のように語られたりもするが、その研究は現代の生物学にどの程度貢献したのだろうか。

客観的な検証を待ちたい。

 

写真は、熊楠が通った大英博物館。ロゼッタストーンも展示されている。

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