#48 最近よんだもの(14) 鵺かキメラか、はたまたヨウムか
ずいぶん暖かくなり、今季も公園でのチェアリングを始めた。チェアリングというより、野良読書という感じです。そんな言葉はないと思いますが。
このほどヘリノックス社製の軽い椅子を買ったが、ホームセンターで買った安いやつの方が、重いけど何というか安心感がある気がする。でも新しいのはカッコいいし座り心地も悪くないし、軽さは正義だから運んで使い倒します。野良読書もといチェアリングも、今季数回行ったところで、早くも夏日を記録するようになり、新緑の季節の短さを予感させる。まだ4月半ばなのに暑いよ。気持ちよく本くらい読ませてくれ。
「鵼の碑」(京極夏彦、講談社ノベルス)をようやく読了。現代日本への警句も多く盛り込まれ(京極は否定するだろうけど)、すべての謎が見事に収斂していく。面白く美しい小説だった。ネットに上がっていた登場人物表をプリントアウトして参考にしながら読んだけど、なぜかすごく時間がかかった。ドラゴンズドグマ2のキメラの方が楽だったな。百鬼夜行シリーズ読み返したいけど、時間がなあ。
「史記 武帝紀」(北方謙三、時代小説文庫)全7巻、3度目の読了。KindlePaperwhiteでメシを食いながら読んだ。よいです。桑弘羊の描き方が本当によい。これを読み終えたら、そのまま北方謙三も影響を受けたであろう「李陵」(中島敦、青空文庫)を読むのが決まりごととなっている。私に漢文の素養はまったくないが、史記だの漢書だの文選だのを読み込んで、こんな小説が書けるものなのだろうか。想像力と文章の美しさと潔さに感服する。
予想していた通り「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈、新潮社)が本屋大賞になった。「水車小屋のネネ」(津村記久子、毎日新聞出版)が優れた小説だと個人的には思うが、書店員が「この本面白いですよ」と客に勧めるなら絶対に「成瀬」だろう。「成瀬」は私も大好きなので、うれしい。個人としての生き方についての啓蒙書といってもよい。私が3冊も買った2位の「ネネ」も、もっと売れて読まれて欲しい。これも社会と個人と幸福についての啓蒙書といってよい。みなさん読んでくださいな。
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