マガジンのカバー画像

創作と夢

29
思い付いたストーリーや夢の話です
運営しているクリエイター

#日記

あの川の幻想

あの川の幻想

ここの水はいつでも透き通っている。
この川はわたしの住む集落に流れているあの川に似ている。けれど、それよりももっと大きくて深い。

ここの川には多分車で数回は落ちている。
1度目はなんとなく覚えている。
もっともっと下流の方だったので、川幅はかなり広くなっていた。
道路から川へと続く芝生の土手を、古いガードレールを突き破りごろんごろんと転がった。
いつも落ちないと安心したところで落ちているような気

もっとみる
きょだいかしたへび

きょだいかしたへび

わたしはデパートに来ていた
文房具の名前がつらつらと書かれた紙を持ちながら母と買い物をしていた

5階建てくらいのデパートだったと思う

フリースペースの様な所に本棚があって、その辺りを歩いていた時、
自分の背の高さほどの胴をした大きなヘビが静かに本棚のあちら側をノロノロと進んでいった

多くの人は叫びながら蛇と反対の方向に逃げていった

わたしは「どれほどの長さなのだろう」と考えていた

母は驚

もっとみる
夢日記 - ペンションと家

夢日記 - ペンションと家

(2022.06)

わたしは小学校の時の同級生たち十数人と
少し遠方へ旅行に来ていた。

宿はなだらかな山地の七合目ほどのところに建てられたペンションで、周りには草木や花が美しく茂っていた。

深夜になると満点の星空が見られるらしく、「真夜中になったら散歩しに出てみよう」と言う事になっていた。

私たちはお風呂も夕飯も済ませ、ペンションのリビングで昔話をしたりテレビを見たりして、その時間を待った

もっとみる

泣く事

何だかどうしようもなくなると

一人になった時に涙が溢れる

と言うのが幼い頃からたまにあるけれど

その度に

「涙が出るのは救いなのだ」

と実感する

夢日記『拳銃』

拳銃で頭を打って死のうとしたのは
これで2回目だった

一発撃ち込んで死ねなかったので
二発目を撃ったらしい
記憶があるのはその二発目を撃った直後からだった

頭に二発も撃ち込んだのに
わたしは死んでいなかった

ただ、砕かれた頭蓋骨の中は
温かいもので満ちていていつもとは違う感覚だった

少し経って
穴の空いた所から真っ赤な血液がツーっと垂れた

拳銃なんて実際にはメディアでしか見たことがないか

もっとみる
物語『猫とネズミと僕』

物語『猫とネズミと僕』

とうとうあの野良猫は
頭がおかしくなってしまったらしい
ザーザーと雨が降っている

その野良猫とは
向かいの家の軒下に住み着いている
灰色の猫だ

これからご飯をくれるおばあさんの所へでも
行くのだろう
軒下からスルリと出てきて、北へと向かった
雨なのに珍しい

猫は雨の中、逆立ちをして歩いていった
初めは少しヨタついたものの、それからは何とも器用に進んでいった

僕は気になって、家から頭を出し頭

もっとみる
短編『オリバさんの庭』

短編『オリバさんの庭』

ショッピングモールの角にある小さなレストランは祖母の友人であるオリバさんのお店で
3人しか並べないほどの小さなキッチンがある

他の店の外観はショッピングモールにふさわしいものばかりだったのにそのレストランだけは、そこに似合わず森の奥にひっそりとありそうなもので、何度行っても心が躍った

小さな頃からよく祖母に連れられて来ていて、
足を運ぶたびに壁にはった蔦や植木が成長した姿をみれる事も楽しみにし

もっとみる