自分の中の鬼軍曹!内なる「もっとやれ!」の声
「休みなく働いておられるんですか?」
「はい、365日起きている間はフル稼働です」
「そうですか。ところで家庭に目を向けられていますか?」
これはワーカホリック真っ只中のときの、ある人との会話だ。
その人も多忙な暮らしをされていたが「なるべく休みを作り家族との時間を作っている」と口にされていた。
「家庭に目を向けられているか?」と言われたときの、その人の表情が少しこちらを心配しているような、どこか慈悲深げな顔が印象に残った。
言葉ではなく非言語で何か訴えかけている印象を受けた。
僕から悲壮感や切迫感が出ており、それを感じとられたのかもしれない。
ワーカホリックから何とか脱することができたものの、今でも自分に対して厳しく接する自分がいる。
ワーカホリック時代は、プロ意識なく仕事をしている人に対して怒りを覚えることが多く「よくそれでお客さんからお金をいただけるなあ…」と度々、不満を抱いていた。
今では「スタンスは各々ちがうし、価値観を押しつけるのはやめよう」と思えるようになった。
自分もポンコツなところが多分にあるのだし。
元来の完璧主義が薄れてだんだんと「適当な部分があってもいい」といった捉え方ができるようになってきた。
ただし生真面目で責任感が強い性格なので、自分に対しては「もっとできるだろ」「もっとしっかりやれ」と鬼軍曹のように発破をかけ鼓舞する、もうひとりの自分がいる。
自分をいたわるのが苦手で、気づけば自分を追い込んでいることも…。
ひょっこり顔を覗かせるこの鬼軍曹と、どう付き合うかが課題かもしれない。
最近は「ちょっと今日は疲れてるんで、早めに切り上げますよ。もう寝ますね」と鬼軍曹に伝え、切り上げる術を覚えた。
鬼軍曹はそのとき苦い顔をしつつも「うむ。まあ、いいだろう」とぎりぎり許してくれている感じだ。
もっと自分を緩めるようになるには、この鬼軍曹を「柔らか軍曹」「ほんわか軍曹」くらいに変えるのが必要かもしれない。
僕の中に息づく鬼軍曹ときたら、こちこちの石頭でユーモアのかけらも持ち合わせていない。
すぐにコンニャクのような「ふにゃふにゃ軍曹」にはならないだろう。
でもまあ昔のように「たわけもの! 歯をくいしばれ!」と言わなくなっただけましかも?
この鬼軍曹がもっと緩んだ存在になれば、過緊張からも解放されるかもしれない。