孤独から連帯へ〜マネジメント人材を迷子にさせないサポートを〜
いきなり他人をマネジメントするって難しいよね
クライアント企業さんの社外人事/採用PMなどを続けていると、担当の方が昇格/昇進してマネジメントを担うなど「初めてのマネジメント」にお付き合いするシーンも増えています。
私自身も過去にいちセールスパーソンから、いきなりマネジメントを任され、特にマネジメントの教育を受けたわけでもなく、毎日「これでいいのかな・・・」と思いながらも、プレイングマネージャーゆえに、ゆっくり立ち止まって考える心的・肉体的余裕もなくて、目先の出来事を消化するような我流マネジメントをしていたように思います。
その時は相談する相手もおらず一人で抱え込んでしまい、かなりシンドかった記憶があります。マネジメント不学者ゆえ、各所で不平不満が蔓延するギスギス状態に陥り、その中で犠牲者も出してしまったことでしょう。(反省しかない)
マネジメントは孤独
最近、クライアント企業さんのマネジメント初任者の人から、
「自分への見られ方が気になって、メンバーに言いたいことを言えない・・・」
「自分も完璧ではないのに、メンバーに指摘なんてできない・・・」
といった相談を受けました。
これまで同列のメンバーだった状態から、役割が変わり、チームをリードする立場になる。その中で、これまで同僚として一緒に働いてきて、時には愚痴を言い合ったりしていた中、いきなり立場が変わるわけです。
また、上位役職者からは管理職というマネジメントを任せているんだから、と実力以上の要望を突きつけられることも多く、間に挟まれて身動きが取れなくなってしまい、「自分の味方はいるのか?」「相手はどう思っているんだろう?」「本音の気持ちを分かち合える人もいない・・・」など、いつしかマネジメントの孤独を抱えてしまっていたようです。(これ、気持ちがすごくよく分かる・・・)
マネジメントとは、組織の役割の一つ
責任感の強い人ほど、自分に矢印を向けて追い込んでしまいがちですが、気持ちを楽にする意味でも「マネジメントとは、組織の役割の一つ」だと割り切るくらいで良いと思っています。
以前に上記のnoteでも書いたことがあるのですが、
ってことで、あくまで会社からマネジメントという全体を見る・全体責任を担う「役割」を仰せつかっているだけだと考えると、少しは気持ちが楽になるんじゃないでしょうか。
「人として完璧じゃないといけない!」「相談されたら全てに的確な解を準備しないと頼りなく思われるのでは?」など、完璧なリーダー像を追い求めすぎると、自己開示ができず、苦手なことや弱みを見せられなくなり、どんどん悪い方向にハマってしまいます。
組織の心理的安全性 〜厳しさと理解の間で〜
全体を見ている以上は、時にはメンバーに対して少し厳しい指摘をしたり、要望したりするシーンもあるでしょう。
サッカーに例えると、全員がフィールドプレイヤーで目の前のボールを追いかけるだけじゃ、統率が取れませんよね。だから、いま目の前で何が起こっているのか?どうやって軌道修正するのか?など全体を把握して戦略を練る人も必要だし、同じフィールド内にいながらでも後ろから展開を見てメンバーにコーチングする人も必要なわけです。
これらは全て「役割」でしかなく。
組織の中での健全なコミュニケーションは、上下の力関係なく、お互いに目的・目標に対して意見や提案、時にはヘルプを言い合える状態だと思います。「心理的安全性」という言葉が流行っていますが、言葉の響きから想像されるようなヌルいものではなく、本来の意味合いは、このようにお互いに目的・目標に対しての役割を要望し合う関係性のことではないでしょうか。(メンバーからの上司評価とか360度評価とか入ってくると身動きが取れなくなるのかもしれないけど、人事評価として使うのは個人的にはあまり好みません)
マネジメントを担う人もメンバーも、その役割が違うだけで、同じ目的・目標を追いかける仲間です。仕事は個人戦ではなく、チーム戦。自分だけで「解決しなきゃ!何とかしなきゃ!自分で考えなきゃ!」と抱え込まなくていいよ、って伝えたいし、得手不得手もあるので全知全能なんて不可能です。勇気を持ってメンバーに「どうしたらいいかな?」と求めてみてください。きっと、一緒に考えてくれるはず。
一方で、メンバー側も組織役割を担ってくれている人だと理解した上で、メンバーシップをもって「目的・目標に対してどうするか?」という建設的な貢献をしていきたいですね。(俺よりも高い給料もらってくるくせに!とか思うこともあると思いますが、だったら、一緒に成果を出してさっさとステップアップする方が組織からも評価されます)
組織でマネジメント初任者をフォローする仕組みを
また、マネジメントを個人任せにするのではなく、組織がフォローできる仕組みも必要だと思っています。特にマネジメント初心者は、人間関係のストレスも否応なく増えるし、孤独にも陥りやすいものです。
また、「マネジメントは経験さえすればできるようになるもの」「失敗すれば学びがあるもの」では、立ち上がるまで必ず犠牲者を生み出してしまいます。マネジメントには一定の基本的な理論もあり、そして、会社が大切にしているバリューに則ったマネジメントが組織文化を作る上でも重要だと思っています。そういったものを我流に任せていては、上司が変われば仕事のやり方や大切にしているものも変わってしまいますし、それがひいては組織の価値観がバラバラになってしまうリスクさえもあります。
組織ができるサポートとしては、定期的なマネジメント研修も必要だと思いますが、日常の中でも、マネジメントを担う人の横軸のつながりを作って、ノウハウや悩みを共有するコミュニティを作ったり、マネジメント初任者をフォローする専任メンターをつけるなども効果的だと思います。
孤独から連帯へ。
マネジメント人材を孤立させることなく、組織で育みたいですね。ただでさえ、若手からはマネジメントになることが避けられ、「管理職は罰ゲーム」だと言われてしまう時代です。苦しみだけがフューチャーされるのではなく、人と一緒にチームでコトを成し遂げる楽しさを味わってもらいたいものです。一人でやるよりも、何倍も楽しし、やりがいを感じるので。
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