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好きな本:『とれたての短歌です』俵万智×浅井慎平 ~コラボのお話~

『とれたての短歌です』という、今から30年くらい前に歌人の俵万智さんと写真家の浅井慎平さんがコラボして出版された文庫本がある。奇跡のような本だ。

俵万智さんの恋を歌った短歌と、浅井慎平さんの写真が載せられている。
イメージとしてはiichikoの広告のような感じだが、(←これも大好き。)
『とれたての短歌です』の場合は、短歌も写真も、どちらも独立していて邪魔をしていない。

短歌だけでも五七五で創られた濃密で美しい世界があるのに、それと関係あるようなないような、
とにかく美しい写真が同じ位の存在感で横に在るのだ。
このコラボレーションが何とも言えない無限の世界を生み出している。

それがとても素敵で、大好きな一冊だ。

短歌は、最も洗練された日本語、文章、言葉、だと思う。
言葉ってよほどの技術がないと、長くなればなるほど説明になっていってしまう。
心に生まれた情景や想いを言葉にする時、いかに削ぎ落してエッセンスだけにするか。
そうやって生まれた最高に美味しいエスプレッソみたいな歌は、読まれた瞬間、一句に凝縮された思いが読み手の中でぶわっと心で広がる。
それは読んだその人だけのものだ。

そして、詠み手とのコラボレーションでもある。詠んだ人と読んだ人の。
言葉を持つ、人と人との美しい繋がり方の一つかもしれない。

そこに浅井慎平さんの写真が在る。
写真と短歌、お互いが邪魔してしまいそうに思うが、それがそうならないのは、
その写真が「物」ではなく、そこにある空気や、想いや、存在そのものを映しているからかもしれない。
短歌と奇跡的に融和し、一つの世界を創り出している。
そこに生まれる世界は、手で触れられるほどリアルで豊かだ。

手に入る方は、是非。

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