見出し画像

【それからはスープのことばかり考えて暮らした】吉田篤弘

2両編成の路面電車がのんびり走る町。
歩いてもいける隣の駅には小さな古い映画館。
お客の注文を聞いてから、作り始める
サンドイッチ屋さん「トロワ」が舞台。



主人公の大里くんの目を通して語られる
素朴な町の素朴な日常。



「昔の時間はのんびりと太っていた。」


仕事を辞めてから、携帯電話の必要性が
感じられなくなって、解約を考える大里くん。

携帯電話のおかげで、
時間はずいぶん節約できたけど、
時間そのものを細らせてしまった。
と考える。


削られたのは「のんびり」の部分。
失われたのは「待つ」ための「ぼんやり」した時間。

時間を短縮することで、
私たちの心にゆとりはできたのかな。
逆にせっかちになってるような、
時間に追われているような気さえする。

吉田篤弘さんが描く小説は、
失われた「のんびり」と「ぼんやり」
を思い出させてくれる。

懐かしいものに出会った気がして、
心が安らぐ。


画像1


丁寧に手順を踏んで心をこめて作られるサンドイッチの描写が本当においしそうでたまりません!

サンドイッチが
出来るのを待ちながら、

主人公の大里くんと、店主の安藤さんが
交わす世間話が楽しい。
のんびり、ゆったり進む、なんてことない会話。
でもその中に大切なことも
さりげなく詰まってる。

トロワの周囲に住む
登場人物たちは、みな
相手のことを思いやり、
生活を楽しむ心のゆとりに満ちている人々。


「食べることと、お昼寝と、本を読むことだけ。
その他は何もいらないの。」



ありふれた日常の中にこそ、
幸せと笑顔が
たっぷり詰まっている。
そう気づかされ、
自分の平凡な毎日も愛おしく思えてきます。



画像2

#日記 #エッセイ #毎日note  #毎日投稿 #習慣
#生活 #暮らし #人生 #学び

画像3



 



いいなと思ったら応援しよう!

ゆりのゆき@身体と心を整えます
サポートいただきました温かいお心は、他のnoterさんにも繋げていきます。有料記事を買ったり、サポートしたり、みんなで頑張っていきたいです。

この記事が参加している募集