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作…メアリー・ノートン 訳…林容吉『床下の小人たち (小人の冒険シリーズ1)』
人間の家の床下に住んで、人間の持ち物を少しずつ「借り」ながら生活する小人の一家。
小人の少女アリエッティが初めての「借り」を経験して外の世界を知り、人間の男の子と交流するようになる…という児童文学。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
わたしは大人になってから初めてこの作品に触れたのですが、読んでいてふと、映画『トゥルーマン・ショー』を思い出しました。
なぜなら、はじめ、アリエッティは床下の世界しか知らなかったから。
他の小人たちのことも、外の世界のことも、両親から聞く伝聞でしか知りませんでした。
アリエッティが自分の身体で、自分の体験として初めて外の世界のことを知るくだりを読んでいると、わたしはどうしても思い出してしまうのです。
映画『トゥルーマン・ショー』で、トゥルーマンがこれまで自分に与えられていた世界がいかに狭いか気づいた瞬間を。
アリエッティが自分の苗字のもととなった大時計(アリエッティの苗字は「クロック」)と出会うくだりを描いたP86の部分も、わたしはすごく好きです。
自分のルーツを知るのは、とてもとても大事な事ですから。
アリエッティが初めての「借り」を終えて家に帰ると、今までと家は変わっていないはずなのに、どこか変わった感じがした…というくだりを描いたP124の部分も好きです。
そういう瞬間を何度も何度も経験して、人はその度に成長していくんでしょうね。
例えば、一人暮らしを始めた人が実家に帰った瞬間。
例えば、旅に出ていた人が家に帰って来た瞬間。
そうしたふとした瞬間に、人は、今まで自分がいた世界と今の自分がいる世界とがどう変わったか気付くのでしょう。
この児童文学の続編『野に出た小人たち』『川をくだる小人たち』『空をとぶ小人たち』『小人たちの新しい家』もいずれ読んでこのnoteに感想を載せたいと思います。
〈こういう方におすすめ〉
『借りぐらしのアリエッティ』の原作を読みたい方。
少年少女の成長物語が好きな方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間半〜2時間くらい。
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