監修…奈良文化財研究所『平城京のごみ図鑑 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』
平城京跡から出土した下駄、硯、土器、金具といった様々なごみ。
●これらは本来何の目的で使われていたのか?
●ごみ捨て場事情はどうだったのか?
●ごみをどう再利用していたのか?
を知ることによって、当時の人々の日常を想像しようという本。
役所、お寺、貴族の屋敷はごみの内容がそれぞれ異なります。
また、生ゴミからは食事の内容だけでなく、包丁で切断した痕跡のある魚の骨などからどんな道具を使って調理していたかも分かって興味深いです。
ごみには色んな情報が詰まっているのですね。
そもそも「ごみ」として捨てられたのか? 「ごみではないもの」が残ったのか? を見極める研究も面白いです。
当時、ごみは「穴に埋める」「水に流す」「井戸に捨てる」のが一般的。
燃やしたり溶かしたりするのは例外的だったそう。
きっとそのおかげで色々な物が現代まで残ったのでしょうね。
P35には、木簡の削りくずから「真慕人足さん」という方が元々の持ち主であることが判明した例が載っていて、わたしは非常に驚かされました。
真慕人足さん本人がもしこのことを知ったら「まさか未来人にわたしが捨てたごみから個人情報を特定されるとは…」と仰天するかもしれませんね。
また、P40に掲載されている板には、役人の顔を描いた落書きがあります。
まるで現代人が教科書に描いた落書きみたいにユーモラス!
これを描いた大昔の人に親近感がわきます。
大昔の現代人も根本的にはそう変わらないのかも?
逆に、現代人のごみはいずれ未来人にどう評価されるのだろう? とわたしはとても気になります。
くれぐれもポイ捨てなんかするのはやめましょう!
未来人に「これは○○年に○○さんという人が不法投棄したごみです」「まあ、〇〇さんって嫌な人ね」などと噂されたりしないようにマナーを守りましょう!