編集…富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議『富士山百画 100 Portraits of Fujisan』
富士山をこよなく愛する方におすすめの画集。
様々なタッチの富士山の絵がまとめられています。
画家が百人いれば百通りの富士山が描かれるんですね。
どれも美しいです。
富士山はこの世にたった一つしかないのに、ある時は優しく、ある時は恐ろしく、ある時は寂しげ。
まるで違う山であるかのように、その表情を変えます。
不思議ですよね。
見る人が自分の気持ちを富士山と重ねているのかもしれませんが、もしかしたら富士山には魂が宿っているのかもしれません。
だから微笑みもすれば、怒りもするし、悲しむことだってある。
日本人が富士山を見上げ続けてきたのと同じように、富士山もまた魂を持ち、古くから日本人を見守り続けてきたのかもしれません。
ある時は、冠雪した富士山を見た在原業平が「時知らぬ山」と和歌を詠むのを。
ある時は、賑やかに橋を行き交う町人たちの暮らしを。
富士山はきっとずっとずっと人々を見守ってきたのでしょう。
この本のはじめには、富士山のことが「日本人にとって心の故郷」と書かれています。
もはや今のわたしたちにはその系譜を遡れないくらい昔々の先祖たちをも見守り続けてきた山。
その姿を通して、人は心の故郷というものを感じるのかもしれません。
日本の町並みは時代によって幾度となく様変わりしてきたけれど、富士山は古き世からずっと変わらず存在し続けています。
そしてこれからもずっと…。
本当にすごいことですよね。
そんな富士山は日本人だけでなく、外国の方たちをも惹きつける魅力があり、FujisanやMt.Fujiなどとしてその名を知られており、嬉しい限りです。
この本には、富士山をモチーフとした絵それぞれに対する日本語での解説文のすぐそばに英語での解説文も添えられているため、外国の方へのプレゼントや、外国の方へ富士山の魅力を英語で説明したい時にも役立つと思います。
勿論、ただただページを捲っては、そこに描かれた富士山の美しさにうっとりすることも出来ます。
嗚呼、なんて贅沢。
日本人に生まれて良かった。
〈こういう方におすすめ〉
富士山を愛してやまない方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間前後くらい。