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著…中原中也 絵…まくらくらま『詩集『山羊の歌』より』

 『サーカス』『汚れつちまつた悲しみに……』といった有名な詩を含む、中原中也の数々の作品をまとめた詩集。

 美しいけれどどこか不気味な雰囲気をも漂わせるイラストが、中原中也の詩の世界観とよく合っています。

 また、この本を読むと、思春期の頃に持ち合わせていたような、剃刀みたいに切れ味の鋭い感性を再体験しているかのような感覚になります。

 なんだか喉がヒリヒリして。

 まるで自分も中原中也と一緒に血を吐いているみたい。

 どの作品からも伝わってくるのは、死の匂い。

 たった一度きりの人生の終わりが近づいていることを実感しながら、生に強く憧れて、でもそれが叶わなくて寂しくて、そんな気持ちを作品に昇華している感じがします。

 きっとそういう心に共感するから、今日もこうして中原中也の詩が愛され続けているのでしょうね。

 また、わたしは特に、『盲目の秋』と題された詩の、

 ごく自然に、だが自然に愛せるといふことは、
 そんなにたびたびあることでなく、
 そしてこのことを知ることが、さう誰にでも許されてはゐないのだ。

(著…中原中也 絵…まくらくらま『詩集『山羊の歌』より』P31から引用)


 という一節に惹かれます。

 何かを、誰かを、好きになる。

 それはびっくりするくらい、すとんと腑に落ちるものですよね。

 理屈じゃ無い。

 なのに、人はどうしても「〇〇だから好き」とか「〇〇だから嫌い」とかいった風に、つい頭で判断しようとしてしまう生き物。

 そんな中で、素直な心で愛せるものや人と出会えたなら、それはやっぱり奇跡なのだと思います。



 〈こういう方におすすめ〉
 中原中也の詩に触れてみたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 30分〜1時間くらい。

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