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子育て

 同世代、または少し上の世代の友人・知人に、ちらほら子育てを始める人が出てきている。会って話しをすれば、話題の中心は自然と「子育て」に。私は当事者ではないから、彼らの話に「そうなんや〜」と相槌をうつしかない。話題が面白くない、というのではなく、「子育て」というテーマ自体に私はどぎまぎしてしまう。

 こういう心理状態をよそに、友人たちは積極的に「子育て」の話をしてくる。それがただの体験談であれば、こちらはただ聞いているだけでいいので気楽なのだが、なぜか彼らは私にアドバイスを求めてくるのだ。
 「自分、子育てしたことないから、うまいアドバイスはできんよ」と話すと、「客観的な意見が聞きたい」的なことを言われる。当事者でないからこそ指摘できることがある、というわけだ。
 私の場合、これに輪をかけて、普段から種々の本を読んでいることを知られているから、「お勧めの子育て本があったら、教えてほしい」とも言われる。ありがたい話だが、荷が重い。実用性の観点も加味して、本を評価しなければならなくなるからだ。

 色々とぼやいてしまった。これで稿を閉じるのもあれなので、最近友人に勧めた本を一冊紹介したい。

「家庭という狭い閉鎖空間の中では、親子であれ、夫婦であれ、きょうだいであれ、家族間のコンフリクトがつのることもある。家庭は自律と保護というアンビバレンスが際立つ場なのであり、衝突は避けられない。私たちが日常生活を過ごす場が、親子の衝突を増加させる元凶ともなるのである。」
根ヶ山光一『抱え込まない子育て』岩波新書、P84)

 「勧めた」とは言いつつ、私は本書を自分の知的好奇心を満たすために紹介した部分がある。臨場感の確認というか、本書がどれだけ当事者に響くのかを知りたかった。
 勧めた相手は、かつてのバイト先の同僚で、今は二歳児の母親である。本を紹介してほしいとのことだったので、『抱え込まない子育て』を勧めた。
 届いた感想の中でピックアップされていたのが、上で引用した文章。いずれそうなるのかな、とは思いつつ、今はまだ「衝突」の感覚はない。私と子どもを、衝突が生じる他者同士として捉えてはいなくて、とにかく自分のことは二の次として、子育てに全力集中、というのが現状であるようだ。

 彼女の感想に触れたことで、「子育て中」と一言でいっても、そこには様々な状況の違いがあるわけで、それに応じて本の受け止め方は変わってくることに気づくことができた。友人には感謝したい。




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