無縁
読んでいることを話すと、「えっ、〇〇の本も読むんだ、意外」という反応が返ってくることがある。
その「意外性」はどこから生じるのか。私は気になり、友人に質問する。
よくあるパターンは、次の二つ。
一つは、普段私が口にしている考え・信条と、〇〇(ある作家)のそれが、明らかに異なっている(衝突している)と感じられたとき。
二つ目は、普段の私のライフスタイルと、〇〇(ある作家)のそれが、明らかに別物であると感じられたとき、である。
前者は分かりやすい。考えや信条に反する作家の本を読んでいたら、「……何があったんだ?」と首を傾げたくもなるだろう。
気になるのは、二つ目。「ライフスタイル」と曖昧な言葉を使ったが、つまり、普段嗜んでいるもの、愛好しているもの、熱中しているもの、それらに共通点が見出せないということである。
これでもまだピンとこない人のために、以下より、実際に「読んでいて、意外」と言われた作家の例を紹介したい。
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「日々、会う人間といえば、競馬場の従業員だけだ」!ーーこの一文だけでも、作家・ブコウスキーが、いかに私と縁遠い人物であるのかが分かる。
作家やアーティストがどんな賭け事にハマり、失敗したかを列挙する。こういった芸当は、ある物事に精通する人間が、時折見せる習性である。(例えば、釣り好きの友人は、釣りを得意とした作家の名前を、その特徴も含めて解説できる。)
「病気持ち」と自認するほど、競馬中毒である作家が、こういう言葉を発すると、なぜか説得力、凄味が増す。ーーこう感じるのは私だけだろうか。
ちなみに、ブコウスキーのような作家に対しては、密かな憧れはありつつも、直接会って教えを請いたいとは一切思わない、というか、請えると思えない。「本」という仲介者がなければ、受け止めることができない考え方は多くある。その点で、「本」という媒体が与えてくれた機会は数知れない。
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