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#恋愛

島本理生/ファーストラヴ

島本理生/ファーストラヴ

なんの予備知識もなく、『ファーストラヴ』を手に取り読み始めて驚いた。

この作品が大衆文学であること

殺人事件というサスペンスが扱われていること

直木賞受賞作であること

これらの事実に。

私が描く島本理生という作家のイメージ、それは、純文学、恋愛小説、芥川賞受賞候補作多数、という文字の羅列だったからだ。

だが、しかし、読み進めていくうちに、紛れもなく島本理生という一人の生身の人間が生み出

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島本理生/あられもない祈り

島本理生/あられもない祈り

古典にもなり得る。
序文でそんな予感がした。
あまりに美しいものだから咏かなとさえ思った。
見た目は本だがこの作品は"恋”そのものである。私は今"恋"を抱えている。

から始まる最後の数行を読んだとき、予感は確信に変わった。

育った環境から人は逃れられないのか“あなた”と“私”の物語は、三年前の夏の日、二人一緒に岩場の陰で日の入りを待っているところから始まる。

物語の終盤、“あなた”と行きたか

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江國香織/ぬるい眠り

江國香織/ぬるい眠り

結婚する前は、その行為は[浮気]と名付けられている。

結婚した後は、[不倫]と呼ばれるらしい。

まるで、[にきび]と [ふきでもの]みたいだ。

同じこと、同じものなのに、呼び方が変わる。

しかも厄介なことに、後者は罰則付きなのだ。

私は、不思議で仕方なかった。どうして人の感情の動きに罰が生まれるのだろう。

不思議で不思議で仕方なくて、調べたりもした。

まあ当然、結婚という制度が関係す

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川上未映子/すべて真夜中の恋人たち

川上未映子/すべて真夜中の恋人たち

直接的な類似点などひとつもないのに、自分の恋の記憶をよびおこされ、引き戻され、苦しくて主人公・冬子さんと一緒においおいと泣いた。

当時11月この作品を読むのに、ぴったりの季節であるという事は知らずに手に取った。

冒頭は、好きな一文だ。
自他境界について触れられていると感じた。

身体に触れているということは、これ以上は近づけないということ。
どこまでいっても溶け合うことはないということ。

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山田詠美/120%COOOL

山田詠美/120%COOOL

高校時代、友人から「林真理子が好きな女子は幸せになり山田詠美が好きな女子は苦労するらしいよ。」と言われた。

そんな予感はしていた。

それでもいいと思った。だってエイミーはこんなにも潔くて、かっこいい。

ワンハンドレッドトウェニィパセント、クール。