フリースタイル書評バトル第1回「今、ラジオが面白い芸人」ーNo.1『最果てアーケード』
「フリースタイル書評バトル-芸人編-」マガジンを開始!
本と出会えるサイトホンシェルジュの新企画「フリースタイル書評バトル-芸人編-」。芸人におすすめの本を紹介し合ってもらう執筆バトルで、皆さまからの投票で連載権を獲得する芸人が決まります。(詳細は過去のnoteをご覧ください)
ホンシェルジュのサイト上にアップした本企画の記事ですが、芸人による作品紹介文の部分だけを読みたいという方向けに、1作品ごとに公開し、マガジンとしてまとめることにしました。
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No.1『最果てアーケード』
私がポテトチップスのコンソメ味やのりしお味を気軽に選べるのは、横でうすしお味が優しい顔をして「元気にやってるみたいね、まぁ時々は帰って来なさいよ」と言ってくれている気がするからだ。小川洋子さんの本は小説を選んでいる時の私をいつもそんな感じで見守ってくれている。
この『最果てアーケード』という小説は、「誰にも気づかれないまま、何かの拍子でできた世界の窪み」のような小さなアーケード商店街で配達係のアルバイトをしている16歳の「私」の物語である。本には10本の小説が収められており、それらが全て繋がっているというまさに商店街を表している構成となっている。
アーケードにある輪っか屋、レース屋、ドアノブ専門店、勲章屋、義眼屋など「この専門店誰がくるんだよ!どんなの?」という大喜利のお題に対する回答のようなお店のチョイスがとても素敵だ。そして「私」は「一体こんなの、誰が買うの?」とちゃんと思っている。それでも何かを求めてそのアーケードに立ち寄る人達は存在する。変わったものを売っている変わった人と変わったものを求める変わった人ばっかりだ、変なの!と思ってしまう。
しかし、読み進めていくうちに、あれ?このアーケード行ったことあるような……という感覚になってきて、読み終えると、ふんわりとした自己肯定感に包まれる。たとえ自分の持っているものが「一体こんなの、誰が買うの?」と思えたとしても、この世界にはそれを必要とする人がいるんだよな、同じようなことを考えてる人もいる気がするし、と思えてくる。
1人でネタを考えている時、あーあどうしたもんかな自分は、もう今日はやめようかな、と思ってしまったら『最果てアーケード』の人達のことを思い浮かべる。するともうちょっと頑張ってみようという気になるのだ。
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■第1回「今、ラジオが面白い芸人」参加芸人
当記事は、こちらの参加者のうちの誰か1名が執筆したものです。
・三四郎 相田周二
・サンシャイン 坂田光
・空気階段 鈴木もぐら
・かが屋 賀屋壮也
■投票はこちら
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