掛川教育フェス その6 パネル・ディスカッション編
8月25日に静岡県掛川市で行った、掛川教育フェス。
最後のプログラムは、パネラー全員が集まってのパネル・ディスカッション。
参加メンバーは以下の通り。
そして司会は、プロのファシリテーターの杉やん。
パネル・ディスカッションのテーマ
「ICTで学校をどう変える?」
○ICTをどのようなビジョンのために使う?
品田
:学力をドリル形式のものであげていくということではなくて、その生徒と先生の創造性を発揮させるため、支援するためのツールとして(ICTは)登場した。私もそこに共感して今の学校で導入している。
吉川
:iPadにしてもiPhoneにしてもあらゆるものが、仕組みがわからなくても使えてしまう。そしたら授業のなかで使わない理由がない。ということで例えば世界史の授業の中で動画を作らせる。世界史の動画をつくるために、あなたは何に興味をもつのか、という切り口なんかが今の社会状況の中の教育としてやりやすいのかもしれない。
○活用のためのハードルは?
野中
:いわゆるGMARCHでも早慶上智でもいいんですけど、そこで四年間学んだことを集大成として卒論を書くんですが、その卒論と全く関係ない職種に付く学生が大半なんですね。ということは四年間の学びが機能していない。一方でそのようなことに気づいている子どもたちがいる。N高校なんかが象徴なんです。今全国の高校生の300人に1人がN校生なんですよ。彼らが目指しているのは早慶上智に入ることを目指しているのではなくて、在学中から起業するような、そういう生き方を主張している。楽しいってことをむしろ大事にしている。彼らの一部が見ている未来が、相対的にも正しい世界なのではないか。そっちの方に大人たちがいつどのように気づいていくのか、ということが問われている気がします。
乾
:オーストラリアはすごくプロジェクトベースな学習が多いので、それが大学の進学に当然関わっているのかと思った。「そうでしょ?」と(オーストラリアの教員に)尋ねると、「いや、我われは大学の下部組織ではない。大学に入るための勉強をさせることが目的ではなくて、生徒が生きていく上で必要な力を中学校、高校レベルでつけさせないといけない。非常に大事な時期を預かっているから、そのためにプログラムを工夫するのだ」
○必要ないと思っている人にはどう対処していけばいいのか?
品田
:やっぱり先生たちは生徒を大好きだし、生徒のことを考えてやっているので生徒が変わる姿を見てもらうのが、一番効果的だな、と思います。
乾
:(学校改革のために他教科の教科会議に参加した時、)ディスカッションの中で、質疑応答を交えながら言われたのが、「教科会議に教科以外の先生が入ってきたのはあなたが初めて」。そのくらい教科の世界は閉鎖的。そこにディスカッションの場を設定する。何を目指しているのかを共有するのが、時間はかかるけど、結果的に一番早い。
まとめ
品田
:「指導」じゃなくて「支援」しよう。指導は邪魔になるのかな(と思う)。もちろん何も指導しなくていいいというわけではないけれども、教員がやっている指導とは多くの場合、生徒にとって邪魔でしか無い。生徒たちがいかに安心安全な環境でいかに伝えるのかを支援するのが大事だと思います。
乾
:授業中にゲームをやっているのは当然だめです。でも授業は生徒のゲームへの欲求の戦いなんです。より面白いもの、より興味深いもの、生徒がやりたいものをゲームと戦いながら作っている今日このごろです。
野中
:卒業論文を共有する、公開するということを念頭において取り組んでいます。共有の範囲を広げて、公開ということを前提に学び作っていくと、実は我々が考えている以上に子どもたちはそのことを意識してよりよいものを正しく作ろうとする。こちらの方向にシフトしていくべきだと思っています。
吉川
:これはレットブルです。
CMご存知ですか?
みなさんもみたことあると思いますが、まさにこの中にヒントが結構あると思っています。生徒にとっての翼って一体なんだろう、って考えたときに、僕はこれは、学歴でも知識でも国籍でもなんでもなくて、最終的にはさっきの進化の状況と同じように、生徒が自ら新しい発想をもって、人と協働して、世界を変えていく。このための一つの翼がICTなんじゃないかなと思っています。
ありがとうございました。