千嶋辰治(フリーライター)

北海道在住。 キンマweb(https://kinmaweb.jp/)にてMリーグや麻雀最強戦の観戦記者を務めています。 麻雀のことから、おっさんの昔話まで。 とっ散らかりながらいろんなことを書いてみます。

千嶋辰治(フリーライター)

北海道在住。 キンマweb(https://kinmaweb.jp/)にてMリーグや麻雀最強戦の観戦記者を務めています。 麻雀のことから、おっさんの昔話まで。 とっ散らかりながらいろんなことを書いてみます。

マガジン

  • RAIN

    僕が死ぬまでにまとめておかなくてはと思っていた話があります。 夢と現の間を行ったり来たりして、ゆらゆら揺れながら描いた世界。 誰に向けて描いたわけでもないんです。でも、せっかくなので。 ここに置いておきます。

  • 本当に強かった10人のプロ

    実際にお会いした素晴らしき麻雀のプロフェッショナルを紹介します。

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Rain

1988年にリリースされた、大江千里さんの「Rain」。 僕がこの楽曲に触れたのはリリースから2〜3年経った頃。 「大好きな渡辺美里さんに楽曲を提供されている方」 そんな出会いだった。 子どもだった僕は、千里さんの紡ぐ言葉が全く理解できなかった。 いや、今でも理解できていないと言った方がいい。 特に冒頭の一節。 僕はあれから30年くらい歌詞の意味を考えているけれど、答えが出ないままだ。 僕の多感な時代は、KANさんと渡辺美里さん、そして千里さんの楽曲と共にあった。 時に勇

    • たまに連絡を取り合っていた同級生から1年ぶりに連絡が来て、何かと思ったら「入院した」と言うんです。 先週の月曜日のことでした。 頼みたいことがある、って言うんで、病院もそんなに遠くない場所だったので見舞いに行きました。 彼の家は奥さんと来年小学校へ入学する娘ちゃんの3人暮らし。 見舞いに行くと、奥さんと娘ちゃんが彼のそばにいました。 「どうした?入院って…。」 軽い気持ちで彼のそばに近づいたのですが、彼はものすごい痩せてしまっていて、往時の面影がほとんどありません。

      • 7ソウは麻雀の神様

        私の父は昔、自分の家に仕事の仲間や兄弟を呼んで家族麻雀をしていた。 週末の22時頃に集まり出して、狭い家の狭い茶の間から子供たちを追い出し、夜な夜な麻雀の興じていた。 私が小学1年生の頃。 「辰治も小学校に上がったし、ちょっとだけなら観ていてもいいぞ。」 父は私を左側に座らせた。 「いいか?どんな牌が来ても、何が起こっても顔に出しちゃダメだぞ。」 私は父の言われたとおり、努めて表情を変えないようにしていた。 すると、対面に座っている私の叔父が、 「兄貴、辰治の顔

        • おともだちができました

          先日、和寒町にある「バイシクルショップサイトウ」さんを訪ねました。 Xのリツイートキャンペーンで、自転車を譲っていただけることになったんです。 タイトルの写真がその記念写真。 お店の前には「映える」スポットがありまして、店主の斉藤さんに撮っていただきました。 和寒町は空が広いところ。 北海道に住んでいながら、久しぶりに北海道らしい風景を見られました。 札幌に住んでいると、こんなに空を広く感じられることってなかなかないんです。 もちろん、それは故郷の小樽も同じ。 山と海に挟

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        • RAIN
          7本
        • 本当に強かった10人のプロ
          3本

        記事

          麻雀は自分を映す鏡

          退院の日から2ヶ月が経った。 一人で暮らす美里を心配したまどかは、退院から毎日のように美里のもとへやって来た。 まどかは、美里の部屋が大好きだった。 とても居心地が良く、温かい空気でいっぱいの部屋。 どんなに仕事で嫌なことがあっても、この部屋へやってくるとささくれだった心が癒やされるのだった。 「毎日申し訳ないわね。私なら大丈夫なのよ?」 美里がまどかを気遣う。しかし、まどかは全く意に介さない。 「私が好きで来ているんです。気にしないでくださいね。それに、たまには井

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          麻雀は自分を映す鏡

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          夢の続きが見られる幸せ

          昨日の店舗予選を勝ち上がりました。 決勝の相手は女性三人。 今まで女性に囲まれて良かった試しはありません。メンバーが発表された瞬間は「まずい!」と気持ちが暗くなりましたが、結果はどうあれ自分らしい麻雀を打とうと考えました。 東1局。僕は起家です。ドラは1s。 3巡目に123三色を見越して1枚4pを外しています。 で、宣言牌は4p。 打1pでいいんじゃないかな?と思ったんですが、気がついたら4pを切っていました。 結果、2pで出アガりできて12,000点の和了。 今日のテ

          夢の続きが見られる幸せ

          観戦記者として伝えたいこと

          高まる緊張感先日の「龍龍杯 夏」を経験して思うのは、麻雀というゲームが「心の勝負」であるということです。 対局日の1週間前くらいから始まった「いつもの腹痛」は、結局前日まで治ることがなくて、飛行機の中で体を冷やしてはお腹が痛くなり、ご飯を食べては調子が悪い…そんな有様でした。 ただ、病的なものではなくて緊張が原因だということはわかっていたので、「いつものことか(TT)」くらいの感じだったのです。 大事な対局の前日に麻雀を打たないのがいつもの決め事だったのですが、その週は仕

          観戦記者として伝えたいこと

          宝物

          東京から帰ってくる日に、師匠の土田浩翔プロとお会いしました。 先生とちゃんとお話するのは数年ぶり。 そして、お茶を飲みながらゆっくり二人でお話するのは…多分初めてだったかな。 喫茶店の席について、飲み物が届いて。 「どうだ。元気だったかい?」 先生の声。 あぁ、久々に聴いたなぁ、って。 先生の姿はいろんなところで見かけますけど、そのどれもが僕が憧れた先生ではないんです。 僕は打ち手としての先生に憧れたし、僕らが打つ麻雀に厳しい目を向けてくれた先生に惚れたし、一緒に

          死に至る病を越えて

          美里から連絡があったのは、倒れてから2週間が経った頃だった。 ーごめんなさい。まだ話すのが辛いので。 書き出しにそう綴られたメールには、病気のことが書かれていた。 私のがん、ちょっと良くないみたい。 元々難しいって言われていたから、仕方がないんだけど。 私ね、この病気になってからずっと自分のことを不幸だなって思い続けてた。 でも、今は違う。 交通事故や突然死ぬ病気と違って、がんっていう病気は死ぬまでに時間があるのね。だから、身の回りの整理をしたり、お別れをしたい人にお

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          死に至る病を越えて

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          会いたくても会えない人

          今回の旅で、たくさんの会いたかった人と再会を果たすことができました。 でも、会いたくても会えない人もいたんです。 その人は、とあるコーヒーショップで店長をされていた方。 僕の二十代の頃のことを知る、数少ない人です。 彼女はがんの苦痛に苦しみながらも必死に闘病していましたが、治療の甲斐もなく三十代の若さでこの世を去りました。 今朝早く、彼女の菩提寺を訪れました。 花を手向けに行ったんです。 小さなお寺で、お墓には水道が引かれていません。 住職にお声がけをしてお水を分け

          会いたくても会えない人

          東京協奏曲

          今日は教え子に会ってきました。 親子ほども歳が離れているその子。 最後に会ったのは彼女が22歳でした。 4年も経てば、人も、街も変わります。 彼女は都会の中で人並みに悩み、学びながら立派な大人になっていました。 何日か前に書いたのですが、私はその子が一人東京へやってきた理由がわからなかったんです。 そして、目標もないのに都会で生きていることが、ただただ心配でなりませんでした。 彼女がこの4年間でどんな生き方をしてきたのかは分かりようもないのですが、私が願っていたよりも

          龍龍杯 夏

          今日の東京は30度越えの真夏日。 北海道生まれの私にはちょっと堪える暑さだけれど、湿気っぽい暑さって嫌いじゃないんですよね。 地元北海道の麻雀最強戦を除いて、配信対局は2度目。 まさか夏目坂スタジオで麻雀を打てる日が来るとは夢にも思っていませんでした。 夏目坂スタジオへ向かう道すがら。 地下鉄の通路がコロッセオに向かう敢闘門のように見えて、不意に写真を撮ったんです。 思えば、何気ないこの通路がそんなものに見えている時点でかなり入れ込んでいたんでしょう(笑)。 少しだけ自

          教え子に会う

          私は過去の一時期、仕事で先生みたいなことをしていました。 町内会から子どもたちを集めて、地域の子どもリーダーを育てましょう、というもの。 その時に通ってくれた子が東京にいるんです。 私が東京へ出張で行くたび、きちんと生活しているかという「生存確認」をするつもりで声をかけているんですが、都会に対して嫌な染まり方をせず、しっかりと生活をしているみたいです。 今回も上京の都合を伝えたら「ぜひ!」とのこと。 夕方からお茶でも飲んで、それからご飯を食べようということになりました。

          「龍龍杯2024夏」に向けて

          卓を選んでください6月の予選を通過した際、事務局からメールが届きました。 「大会の出演者は以下のとおりです。どちらの卓で打ちたいか選んでください。」 選択肢は二つ。 A卓は武田雛歩プロ、赤木クロプロとユーザーさん二人。 B卓は二階堂瑠美プロ、仲田加奈プロ、一瀬由梨プロとユーザーさん一人。 私は2位通過なので上位の方が選ばなかった方の卓に入るわけですが、一応希望は教えてください、とのことです。 私は迷わずB卓を選びました。 そっちの方が勝ちやすいと思ったの?って? い

          「龍龍杯2024夏」に向けて

          会いたい人に会いに行く

          今週末、東京に行きます。 目的は、土曜日の13時から日本プロ麻雀連盟チャンネルで無料放送される「龍龍杯 夏」に出演するため。 カメラの前で打つ経験は何度かさせてもらってますが、今回は憧れの夏目坂スタジオで打てると言うことで、出演が決まってから本当に楽しみにしていました。 ただ、最近の麻雀の成績は実力どおり散々なので不安しかありません。 自信を持って私の麻雀を観てください…とは言えませんが、他の出演者の方が本当に豪華なので、私のことはついでに観ていただければと思います。

          会いたい人に会いに行く

          しょっぱいオムライス

          2ヶ月の休養を経て、美里は仕事に復帰した。 まどかと井上の献身的なサポートもあり、美里の体力は徐々に戻っていったが、元にように働けるようにはならず、午前中はデスクワークをこなし、午後のわずかな時間にレジに立つという日々を送っていた。 季節は巡り、そして、僕らは再会した。 「店長にお会いになったのって、本当に奇跡的なことと俺は思います。だって、いつもは昼のたった1時間しかレジにいないんですから。ただ、あの日はものすごく忙しくて、珍しく店長が長くレジにいてくれたんですよね。

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