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ここに映画があるから5『理想郷』

ここに映画があるから5『理想郷』

2024年11月amazon primeにて有料鑑賞。※ネタバレあり
あらすじ。
フランスからスペインのガリシア地方の田舎に移住したアントワーヌとオリガ夫婦。家の前の畑を開墾し、念願の有機農業を行って、市場で野菜を販売している。改修して人が集まる場所に使いたいと空き家も見つけた。親切にしてくれる知り合いもでき、そこは夫婦にとって理想郷になるはずだった。

オープニング。
居酒屋で、声の大きい村人が

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ここに映画があるから4 『ゴンドラ』

ここに映画があるから4 『ゴンドラ』

緑あふれる山の谷間に渡された2つの古いゴンドラ(ロープウェイ)。オープニングは、小さいゴンドラいっぱいに乗った棺桶を、谷間に住む村人が厳かに見送る奇妙な光景からはじまる。ゴンドラの下に広がる村の人々は、子どもも大人もゴンドラとともに生きている。

故郷に戻ってきたイヴァは、ゴンドラの乗務員に採用される。先輩は飛行機の客室乗務員をめざしいているニノ。二人はパワハラ駅長をうまくあしらいながら、行ったり

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ここに映画があるから3 『ソウルの春』

ここに映画があるから3 『ソウルの春』

2024年9月劇場にて鑑賞。

韓国民主主義の存亡を揺るがした実際の事件を基に、一部フィクションを交えながら描かれた作品。

独裁者の座を狙う男チョン・ドゥグァンを演じるファン・ジョンミンは、本来の姿から見事に変貌を遂げている。薄い頭髪に人を嘲るような軽くて高い声。歴史的には、民主化を弾圧したとして知られる全斗煥大統領役を、底知れない気味悪さで演じている。

「国際市場で逢いましょう」では歴史に翻

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ここに映画があるから2『アフターサン』

ここに映画があるから2『アフターサン』

2024年11月 amazon prime配信にて鑑賞。
劇場で予告編を観て、「この映画観たい」と思っていたのに、同時に観たくなかった映画。わざと見逃したのかも。観たくなかった理由は、観てわかった。観ている間、ずっと苦しかった。忘れていた傷口が、ぱっくり開くような映画だった。

離婚した父と久しぶりに会う娘ソフィ。二人はバカンスを過ごすため、トルコのリゾート地にやってくる。ベルを鳴らしても、フロン

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ここに映画があるから1『十一人の賊軍』

ここに映画があるから1『十一人の賊軍』

2024.11劇場にて鑑賞。
幕末の坂本龍馬や西郷隆盛は映画・ドラマでよく描かれますが、実は戊辰戦争はあまり描かれません。近代日本最大の内戦ともいわれ、まだ人々の中に生々しい記憶が伝わっているから、描き方が難しいのかな?会津と長州は犬猿の仲だというのは、他の地域の人にはピンときませんが、現地ではリアルにあるそうですね。本作、そういう意味では切実なテーマを含んだ映画です。

そもそもあの幕末の思想的

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