障害者らしい見た目?
以前から、私は『身なりに気を遣うタイプ』だとnote上でも豪語してきました。
毒親育ちの虐待サバイバー、心療内科で治療中の❝障害者手帳持ち❞が日々の感じていることを書こうと思います。
なぜ、私は身なりに気を遣いたいのだろう?
もちろん自分が接客業務をしていたこともあるけれど、家庭環境と『障害を負ってしまったという事実』がかなり影響していると感じています。
◎身なりを整えるのは悪いこと?自分でも残念な記憶…
私は幼い頃から母に見た目を貶されていました。
『かわいくない!』、
『汚っ(きたなっ)!』、
『くっせ…!』
とまで言われていました。
笑顔が作れない私を、
『はんっ、愛嬌もないのか』
とバカにして嗤う母でした。
私が精神科病棟にシェルター入院した頃、母に着替えを持ってきてほしいとお願いしたら、珍しく来てくれたことがありました。
しかし私の着替えは持って来ませんでした。
『オマエ、病院で浮いてんのわからんのか?
ああん?
みんなこぎたねぇ格好して❝病人らしく❞してるだろ?
オマエは化粧が好きだの、マニキュア塗るのが好きだの、少しきちんとした服が好きだの……
…あ"〰〰〰!
むかつくんだよ!!
無能なヤツは、病人らしい格好してればいいんだよ!
この、キチガイが!』
そんなことを喚く母は、看護師さん二人組の『つっぱり』で『のこったのこった』と病棟と渡り廊下の境に押しだされていきました。
ガチャンガチャンと上下に鍵をかけられ、追い出されていました。
病人らしい…?
無能らしい見た目?
母は何故病気をした人がお洒落したがるのを嫌がるのかしら?
もしかしたら、
『アタシはあいつらとは違う!』
と思いたい母の心の叫びではないか?
(実際には私の母はかなり重い精神疾患でした)
◎『精神疾患らしくないね』
あれからもう10ウン年経ちました。
今でも、私は他人から言われます。
『精神疾患らしくないね』
『精神疾患に見えないね』
はい?
逆にお訊きします。
精神疾患らしい見た目って、
どのようなものをイメージされてるのでしょうか?
それとも、話し方や雰囲気のことを仰ってるのでしょうか?
たまに福祉関係で働いてみえるスタッフさんからも言われるんです。
『意識高い系〜』
って指をさされたり。
初対面の私をジロジロ見て、
『(なんなの、このコ)
マニキュアも塗ってるし…
(精神に)問題があるように見えないけどねぇ』
と利用者を傷付けるような発言をする人もいます。
一般の人から身なりが『障害者らしくない』とか『精神に問題がある人らしくない』とか言われると傷付きます。
プラスで福祉施設の方に言われると傷付き度は更にアップします。
普通に『オシャレですね』って仰ればいいんですよ。
◎身なりは『心身の盾』だっ!
私個人が意識して身なりを整えるのには2つ目的があります。
まずは『防御』です。
ただでさえ、障害があると知られると粗末に扱われることが多いのです。
だからまず障害があると知られる可能性を下げるため。
ハッキリしていそうな人に見せるため。
『防御』として身なりに気を遣っています。
残念ですが、
毛玉だらけで変色したスウェットを着たときと、ピシッとパンツスーツを着たときでは
周りからの扱われ方が違います。
もちろん親しい人となら、パンツスーツなんか着てなくても仲良く過ごせたらOKだと思います。
ただ、日々過ごす中でほとんどの人は入れ代わり立ち代わり。
ほんの一瞬。
だったら粗末な扱いを受けないように『防御』する人がいても不思議ではないですよね?
実際に、障害のあるひとが就職訓練をするときは『身なりを整えること』をキチンと教えるものです。
もう1つの目的は『自分の心のため』です。
数は少ないですが、
キチンと洗濯されたサイズのあった服を着ています。
髪をキチンと整えます。
私はアクセサリーが好きなのでピアスは欠かさずつけます。
やりすぎない程度にメイクをします。
ネイルも自分で整えます。
『よしっ、
綺麗にしてる!』
『私、よくやった!』
『うん、えらい!』
もちろん無理に整えなくていいんです。
個人個人でオシャレやスタイルには好みがありますから。
それに病状が酷いときってお風呂も一苦労。
顔を洗うのもしんどい…
だけど、ボロボロになってゆく自分の姿を自分が一番近くで見ているから
『わぁぁぁっ。・゚・(ノД`)・゚・。』
ってなります。
だから無理はせずに、
だけど出来る範囲で整えます。
◎できなくても何か言われる。できても何か言われる。
障害者雇用で働き始めて5年ほど経ちました。
障害認定自体は10ウン年前に。
心療内科初受診にいたっては20年以上前です。
障害のある人が『身なりを整えられないことがある』と世間にも知られています。
ただ、同時に『身なりを整えている障害のある人』に対して『傷付く発言』がされることも多くて不愉快に感じます。
障害があったら身なりを綺麗に整えてはいけないのでしょうか?
健康でなくては小綺麗にしてはいけないのでしょうか?
病気をしていたらオシャレをしてはいけないのでしょうか?
海外では手術後の女性を『口紅を塗って過ごすグループ』と『口紅をしないグループ』に分け、回復しやすさを比べた実験があります。
結果は『口紅を塗って過ごしたグループ』の方が回復が早かったのです。
もちろん、メイクが苦手な女性もみえます。
ただ、『身なりを整えること』『あら、私オシャレじゃない♪と思うこと』が心身にポジティブな影響を与えると分かる実験結果のひとつだと思います。
髪型がオシャレに決まった日は何だか機嫌よく過ごせたりしませんか?
障害や病気ゆえに『身なりが整えられない』のは本人にもストレスであるケースも多いのです。
障害を持っていたり病気をしている人の身なりが綺麗であることを褒めたり肯定をされる分には構いません。
しかし、『障害者なのに』『病人なのに』という『本来は綺麗にしているイメージないのに〜』という感情が丸出しの言い方をされるととても不愉快です。
下手をすると『障害者なのに生意気ね』『病人のくせに贅沢ね』というニュアンスで明らかに❝悪意❞を込めて発言をする人もいます。
◎言われると気になる『〜らしい』とは?
見た目で人を判断してはいけません。
それは分かります。
だけどそんなにキレイに世の中は出来ていません。
生き抜くために身なりを整えています。
『障害者らしい』って何なんでしょう?
『障害者らしい見た目』ってどんな見た目でしょう?
『病人らしい』って何なんでしょう?
『病人らしい見た目』ってどんな見た目でしょう?
そもそも、これらの言葉に何の意味があるのでしょう?
時代と逆行した発言だよなぁ…とつくづく思います。