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エッセイ 共通テストと雪の日。

 私が受験生をやってた頃は、まだ「センター試験」だった。

 今は「大学入学共通テスト」。
 共通テストになった今でも、たまにうっかり「センター」と呼んでしまう。



1.センターまであと〇日! とかやってたよ。



大学入学共通テスト。いわゆる「共テ」。
 かつての、大学入試センター試験。俗にいう「センター」。

 日本ではおなじみの、大学入試に挑む受験生たちの大舞台。
 冬の冴える朝に早起きをして、受験票を手に試験会場へ向かう日のこと。 
 受験生は、その日に向けて努力を積み重ねている。

 残りの日数を後ろの黒板に書いて、「センターまであと〇日!」とか、みんなでカウントしながらね。

 私が受験生だった当時、残り日数が10日を切ったら、横に赤いチョークで「ついに1ケタ!」って添え書きがされていた。
 いよいよ本試験の実感が湧きはじめる頃。

 そして本試験当日となると、受験生はもちろん、見送る親もエールを送る先生や講師の人たちも、はたまたニュースキャスターや近隣の駅員さん、おまわりさんたちだって、なんだかソワソワした朝を過ごす。

 雪で試験会場に行けないとか、交通機関が止まるだとか、おまわりさんがパトカーで受験生を試験会場に送った、なんて話がニュースとして報道される非日常の一日だ。

 ところで、私のSNSのフォロワーさんや、noteの読み手の方には、中学生や高校生の方もいる。
 ひょっとしたら、大学入試真っただ中の方もいらっしゃるのかな。

 もしそうだとしたら、これの公開が2025年1月8日あたりになるから、共テの本試験までもうそろそろ。
 今のうちから、当日の流れや準備物を確認しておくといいと思う。
私の経験から察するに。


2.教室が寒い。



 私のころはまだ「共テ」ではなく、「センター」と呼んでいた。

 この試験は、試験日がだいたい1月の中ごろ。
 今年でいえば、1月18日と19日。

 この時期、とにかく冷え込むよね。

 まず、教室が氷を張ったかのように冷えていた。
 緊張もあったのだろう。
 寒烈は言いすぎかもしれないけれど、稜々とした空気が廊下にただよっていて、試験の間に受験生がたむろする廊下もとにかく寒く感じていた。

 あんなに受験生だらけの廊下が、どうしてあそこまで冷え込んでいたんだろうといった具合の寒さだったと私の記憶にある。

 1月の吐く息がくっきりと白む朝。
 電車に乗り、最寄り駅からは自分と同じく受験生だろう人たちに混じり、同じ道を歩いて試験会場に向かう。

 途中、試験会場の周辺や校門あたり先生たちがまばらに立っていて、通りがかる受験生たちに声をかけていた。

 高校三年生の学級を受け持っている先生たちはだいたい現地の試験会場に繰り出していて、自分の生徒たちに言葉少なくもエールを送りながら会場の学校に入っていくのを見送る。

 私の場合、担任の先生が入口の前でクラスメイトに激励していたな。
 いかにも寒さに堪えていそうな風ではあったけど。

 そんな、本人たちはもちろん、それを応援する人たちも巻き込んで色んな思いが渦巻く大学入試共通テストの日。

 なぜか、雪が降るイメージがある。


3.センターと雪の都市伝説



 まず、私の経験としてセンター試験の日に雪が降っていた。

 道理で教室も廊下も冷え込んでいたわけだが、1月の中ごろという時期もあって、耳が冷めすぎて触ってもよくわからないような、そんな寒風の体験が私のイメージをより確固なものにしている。

 外にいた担任の先生の肩に軽く白い雪が積もって、それを肩で払いながら生徒に声をかけていた姿が印象に残っている。

 ただ、どうやらこの感覚は私だけのものではないらしく、こういうウェザーニュースが出るくらいには、言われがちな事柄ではあるらしい。

 実際のところは、50%以上晴れというデータもある。
 1年でもっとも寒さがつよい時期なのもあって、雪の印象があるのかもしれない。

 それに、たとえ自分のところでは降っていなくても、日本のどこかで雪が降ってそれがニュースにはなるだろうし。

 今日が1月8日とすると、本試験まであと何日かある。
 これから受ける予定の人たちは、当日に緊張を覚えたり不安になってきたりしはじめる頃かもしれない。

 ちなみに当日、私は超緊張した。

普段の力を100とすると、100の力を出せた気もない。
が、そこはあんまり問題ではなく……。

 私の場合、始まる直前にカバンに入れたはずの受験票が見つからなくてアワアワしていた。

 それで頭が真っ白になり、しばらく混乱した脳裏に日本史で覚えたフレーズが駆け巡る。
 阿弖流為という言葉がしばらくぐるぐる周遊していた。

 結局見つかったからよかったけどね。
 なぜかカバンの底板の下に隠れていた。

 ともあれ、当日緊張の上テンパった私でも受験はできた。
 少なくとも、受験票があれば受験できる。
 財布があれば、会場には辿り着けるし万一筆記具がなくても調達できる。

 受験票と財布だけは、今からカバンに突っ込んでおくことを勧めたい。


冬の夜にあとがき


みなさん、こんばんは。
ななくさつゆりです。

年が明け、共通テストが近いということもあり、ちょっと受験当時のことを振り返ってみたくなった私です。

実際、私のSNSのフォロワーさんの中にも十代の中高生の方がいて、そうした世代の子を持つ大人の方もいらっしゃって、今回は私が経験したセンターと雪の日の記憶をまじえて語りました。

日本の大学入試において、共テはかなり存在感が大きなものです。

人生に何度かしか経験することのないようなものになるし、そんな受験生を応援するコンテンツはリアルにもネットにもたくさんあります。

そうした環境で、受験生はつい本番を意識しすぎて気負ってしまうとかあるのかもしれません。

いよいよ本試験の日が近づくとなれば、なにかと不安や心配が芽生えることもありますね。

緊張とか、不安や心配。焦り。
ただ、それは皆そうだから

自分だけじゃないから、そこを深刻に考えなくてもいいと思います。

その緊張は、正しい緊張です。
むしろその緊張を肯定してしまって、目の前の試験に対して自分が今日やろうと思ってきたことに集中しようとするのが、おすすめ。

これまで努力してきたのだから、そこで得た知識と継続してきた根気は自身の内にきちんと積み重なり、力として存在しています。
まず目の前の試験や勉強をやっていれば、その力はきちんと発揮されます。

なので、安心して突き進みましょう。

ななくさつゆりは受験生のみなさんを心から応援しています。
がんばろう!

ななくさつゆり


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