ファンタスティックコント ~同窓会は永遠だ編~
ファンタスティックコント ~同窓会は永遠だ編~
① 中学一年生の同窓会
公園に、中学一年生が集まりました。
A君「時間たつの早いなあ、小学校の頃がなつかしいよ」
B君「この前、卒業したばかりじゃないか。ランドセルをやめろよ。中学生なのに、ランドセルで登校する奴、いないぞ」
A君「ふん、先生に叱られても、やめるもんか」
B君「じゃ俺も付き合うぜ。俺は、半ズボンで登校だ」
反抗期が始まりました
② 社会人一年目の同窓会
近況報告。一人目は、押しの強そうな青年。
「俺、就活失敗。今、無職」
元同じクラスの友達が、
「会社に入っても、色々あるのさ。僕、人事課に配属になったよ。本当は営業をやりたかったのになあ」
と慰めました。
元同じクラスの憧れの女の子が、
「あたしもよ。お客様窓口で頑張りますって、アピールしたのに、人事労務課だって」
優しく言いました。
押しの強そうな青年は、顔を伏せました。
「俺さ、『営業嫌です。お客様窓口苦手です。だから人事をやらせてください』って言ったら、落っこっちゃった」
友達二人は、断言しました。
「僕、その会社。人を見る目があると思うよ」
「あたしも同感。あなた、自分を見る目がないのよ」
二人ともプロでした。
③ 百歳の同窓会
背の高い太郎と背の低い平次が、二人だけの同窓会を開きました。
太郎「百歳になっても、全員そろって、同窓会やれるって凄くないか」
平次「大げさだよ。山奥の分校を卒業したのは、俺たち、二人だけじゃないか」
太郎「二人だけでも、成績は全科目、俺が上で、首席だぜ」
平次「二人だけじゃ、勝っても自慢にならねえ。たいした差じゃないしさ」
太郎「勝ちは勝ちだ。それに成績だけじゃないぜ。背も俺のほうが高いんだ。これでお前より長生きしたら、三冠王だ」
平次「何、言ってやがる。長生きだけは、ゆずらねえよ」
太郎「おう、勝負だ。じゃ、とりあえず乾杯」
二人は養命酒を出して、がぶ飲みしました。
④ 漁師仲間の同窓会
漁船の中で。
「俺たち、皆、小学校、中学校の同窓生だ。乾杯」
「おう、船に酔わないで、酒に酔うだ。本日休業」
「お刺身食い放題だぜ。足らなきゃ、周りの海から捕りゃいい」
「産地直送。いや産地そのものだ」
「日本で、一番豪勢な同窓会だぜ」
一人がレーダーを見て叫びました。
「台風接近中」
酔っ払って操船できません。
漂流しました。
いつまでも同窓会は続きました。
⑤ 同窓会のアイドル
「俺たち、九十歳。でも、今でもアイドルは、京子ちゃんだ。永遠だよ」
「あら、うれしい。でも、物足りないのよね。どこかにいい男、いないかしら」
男性陣は全員髪の毛を染めました。
⑥ お相撲さんの同窓会
横綱「わしらは、同じ時期にスカウトされた仲間だ」
幕下「みんな、まだ現役です」
横綱「これも、同窓会会長のお前のお陰だよ。美味しい料理を作って、いつも励ましてくれて、ありがとうな」
幕下「同窓会の会長は天職っす。こっちは、引退は無しっす」
横綱「俺、もし横綱を引退したら、同窓会を手伝うからね。会場の予約とか、顔がきくからさ」
幕下「横綱、引退の前に、どうやったら勝てるのか、教えてくださいよ」
横綱「お前の場合は、チャンコ鍋の食い過ぎだ。体が重すぎて、自分で倒れて怪我してる。体が引き締まったら、技を教えるてあげるよ」
幕下「やっぱり、相撲は引退して、同窓会に専念しようかなあ」
横綱「だ~め。四股一万回、始めるぞ」
幕下 足が上がらず、アゴが上がりました。
⑦ プロ野球選手の同窓会
「お互い、甲子園で戦ったライバルだ」
「春はお前、夏は俺の学校が優勝。決勝戦は、いつも相手はお前の高校だ」
「高校で三年間も、甲子園の決勝戦は同じ相手だものな。ライバル同士だ」
「まさか、同じプロ野球チームに入るとはね。なんだが、のんびりしちゃったなあ」
「リーグの優勝は、一度もなしだ。テレビ、つけようか」
テレビは、日本シリーズをやっていました。
「乾杯」
「ちょっと、寂しいな。最近、俺、女優と付き合い始めたんだ」
「誰」
「○○ちゃんだ」
「なにい・・・俺もだ。テレビを消すぞ」
「初めて聞いた。手前、いつからだ」
「甲子園が終わってからだ。彼女、インタビューに来たから、電話番号を聞いたのさ」
「俺もだよ」
二人は睨み合いました。本気になりました。
⑧ 会社の上司と部下が同窓生
居酒屋で同窓会
「君も、そろそろ、課長にどうかね」
「ありがとうございます。でも、同窓会じゃ、そんな話はやめましょうよ」
「でもね、俺を、昔みたいにあだ名で呼べるか。あだ名は『社長』だぞ。お前があだ名をつけたんだ。そしたら、本当に社長になっちまった」
「じゃあ、まず、ネクタイはとりましょうかね」
「おう、そうだな」
「ついでに、昔みたいに、髪の毛をバサバサにしましょうかね」
「賛成。これで、どうだ」
「昔にもどったね。いいじゃねえか」
「お、その話し方。いいねえ、学校一番の不良。いけいけ」
「おお。そのグラス空けろ。『大社長』たるんでんぞ」
「はい、番長。空けま~す」
⑨ 赤ちゃんの同窓会
産院の部屋で。
「私たち、同じ産婦人科。同じ日に生まれた仲間よ」
「僕、覚えてる。泣き声がうるさくて、眠れなかった」
「私、歌を歌ってたの。だって、将来歌手になりたいんだもの」
「本当。じゃ、サインちょうだい。産着に書いて」
「まだ、私の名前、決まってないの」
⑩ あの世で同窓会
A「待ってたぞ。やっと、あの世に来たなあ」
B「お久しぶり。待たせて、ごめん」
A「先に逝った俺が悪いのさ」
B「この世の同窓会は減る一方だけど、あの世の同窓会は増える一方だね」
A「卒業証書のない卒業は、急がなくてもいいんだけどね」
B「時の流れだよ。あの世はいいね。先生もいるじゃないか」
A「先生がお元気すぎてね。毎日、宿題とテスト。俺、叱られてばっかり」
B「あの世で、勉強は勘弁だなあ。二人で、逃げ出そうか」
A「生き返るか」
B「どうやるんだ」
A「先生を怒らせるのさ。『もう一度、勉強してこい』って」
B「落第もいいね」
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