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饗宴 * 読んだ

プラトニックの語源、プラトンが一体何を言ったのかを知りたくて、読んだ。

前回のクレーヴの奥方の感想文で、プラトニックという単語を使用したが、この『プラトニック』とは何か、私の独自解説をしてみようと思う。
(夫人シリーズばかりだと飽きるので箸休め的にね)

『饗宴』は、古代ギリシアで主流だった『ごろ寝パーティ』のことであり、この参加者たちに『エロスとは何か』を語らせているというのが特徴。

概要をまとめるとこんな感じ。

太古の昔、人間は頭部が2つ、手足が4本ずつの生き物だった。

キモいを通り越して、オモロい生き物である。

ところが、ゼウスがこの人間の姿にビビって2つに分割したところ、片割れを探してくっつこうとするようになった。これが『エロス』。

はい、出ました背徳ワード『エロス』。
だが早とちりをしてはならない。ここで言う『エロス』は卑猥な意味ではなく、単に女神の名前由来の『愛』みたいな意味合いのものである。

このエロスという女神を説明するには、ギリシア神話やシュメール神話を紹介せねばならないので、それはまた別の機会にするとして。

独自にまとめると、
分割された片割れ同士が、魂レベルで求めあう言語化できないものが、美しいエロスであり、単に体だけを求めあう徳のないものは、醜いエロスであると言っている。

要するに、プラトンはプラトニックを定義したのではなく、『美しいエロス』を定義したってこと。

ちなみに、バタイユの言う『エロティシズム』とは、『ダメと言われるから禁忌を犯したくなるのだ』としていて、『隠されるから見たくなる』ということになっている。まあ、わかる。


よく言われていることだが、古代ギリシア時代では、少年との間で体の関係を持つことが多かったとされている。
しかし、本人たちも倫理的には良くないことだと自覚していたようで、なんとか正当化しようと試みていることが、この『饗宴』という作品全体をとおして伺える。


あと、おもしろかったのは、古代ギリシアの時代から、しゃっくりを止める方法は今と変わらないってことで、独自解説を締めたいと思う。

しばらく呼吸を止めてみなさい。そうすればしゃっくりは止まる。止まらなかったら、水でうがいすること。それでもしつこく続くようなら、なにかで鼻腔をくすぐり、くしゃみをしたまえ。これを一度か二度行えば、どんなにしつこいしゃっくりでも止まる。

『饗宴』P84 第五章アリストファネスの話より