極私的音楽変遷について思うこと ~ 日本音楽史拾遺Vol.13
あれは1991年~1994年までの数年間のこと。
ヘヴィメタル・ハードロックの洗礼を受けていた僕は、友人数名と協力し合い、アルバムを聞きまくっていました。中古CDなど田舎町には無く、インターネットなどもない時代。情報源はBURRN!やミュージックライフのみ。ラジオは雑音がひどくて聞けたものではなかったんですよ。
あの時にリアルタイムで聞いていたアルバムは
オジーオズボーンの「No More Tears」や、ジューダスプリースト「Painkiler」。アイアンメイデンの「Fear of the Dark」、、、
アクセプトの「Objection Overruled」、AC/DC「LIVE」、モトリークルー「Decade of Decadance」、ボン・ジョヴィ「Keep the Faith」、ドリームシアター「Images and Words」、
さらに
Blind Guardian「Somewhere far Beyond」、ガンマレイ「Sigh No More」、メガデス「Symphony of Destruction」、スキッドロウ「Slave to the Grind」、ガンズアンドローゼス「Use Your Illusion」、ミスタービッグ「Lean into It」、メタリカ「メタリカ」
さらにさらに
カヴァーデイル・ペイジ、サンダーのセカンド、ウォレント、ポイズン、ファイヤーハウス、デンジャーデンジャー、ピンクフロイドの「対」、そして新星・フェアウォーニング、、、。
そうなのです。わかる人はわかるこの百花繚乱は、この数年間に起きたことだったのです。
この数年間を経て、グランジ、ヘヴィミュージック、そしてブラックミュージックの隆盛へと繋がっていくことになります。
つまり、この数年間とは、ヘヴィメタル・ハードロックの燃え盛る最後の炎のきらめきだったのです。
ここで、特筆すべきアルバムを上げると、やはりここに行きつきます。
・メタリカ「メタリカ」
このアルバムの存在が、世のグランジ、ヘヴィミュージック(Rage Against the Machineとか、TOOLとか、KORNとかそのあたりの音を指してます)と共に、世の中を席捲していくわけです。
当時、メタリカも変わってしまったという言葉は周辺ではあまり聞かれませんでした。それもそのはず、このアルバムが、ほぼメタリカ初見だったからです。比較対象が無かったわけで。僕はかろうじて前作「メタルジャスティス」を聞いていましたが、メタル初心者にはこの音はきびしく、、、つまり、比較対象になるほど聞きこんでいなかったということですね。
ただ、今にして思えば、音はともかく、あの黒さ。この黒いジャケットは、その後の黒い暗黒の歴史を象徴しているかのようでした。
95年ともなれば、もはやハードロックバンドは絶滅寸前でした。こぞってヘヴィ化、または、ブルーズ化していったわけですから。
また、メタルバンドもヘヴィ化が進み、ここにきてメタルはローカルバンドに望みを託すことになっていきます。フェアウォーニングあたりの活躍が記憶に新しいですね。
ただ、その中にあって、アイアンメイデン、モトリークルーはボーカルを変えたことが完全に裏目にでてましたし、ジューダスプリーストに至っては、歌えるボーカルなのに、音を思いっきり変えてしまったがゆえに、これまた沈んでいきました。アイアンメイデンは音を変えていなかったのが、せめてもの救いでした。
97年98年99年、、、、と進むにつれ、最早、新しいバンド出現は望むべくもなく、、世は次第に再結成やボーカルの再加入ブームになっていきます。
アイアンメイデン、モトリークルー、ジューダスプリーストは結局ボーカルが戻りました。
00年代以降は、どこかノスタルジーの中にいたような気がします。
リアルタイムのバンドが面白くないため、どんどんルーツを過去にさかのぼっていきました。ブリティッシュトラッド、欧州プログレ、テクノ、ブルーズ、。
この、ルーツ遡りが、個人的な音楽性を広げていくことになるわけなので、歴史とは面白いものです。
ここで広がった音楽性があったがゆえに、
英国・アイルランドからの音の流れと、奴隷貿易からのアメリカンミュージック、
そしてアメリカの山脈で紡がれてきた英国フォークの流れとボブ・ディランへの系譜などを知ることになり、
その帰結としてのエルビスプレスリーによるロックンロール誕生、
その後の、ビートルズ、ジミヘン、からの70年代ロック隆盛までを学ぶことができました。
根底にメタル、ハードロックがあり、むしろ哀愁漂うメタルの要素を好んでいたことが、英国トラッドの理解の一助となりましたし、好んで聞いていた日本のロックとの関係性もわかってくるわけです。
レベッカは、マドンナなどのアメリカンポップ直結だなあ、だからこそ小暮さんには合わず、彼はダイナミックなボーカルのダイヤモンド☆ユカイを起用して骨太のアメリカンロックをやったわけだし、
忌野清志郎は初期こそボブ・ディラン直結フォークだったけど、70年代アメリカン南部ロックの洗礼を受けててもいたので、RCサクセションはその音になっていったし、
ボウイは初期こそパンキッシュだったけど、後にテクノから派生した欧州ポップの影響を受けてジャストアヒーローを作り、転じてオリジナリティを出して日本の頂点になり、
Xはメタル直結、
ブルーハーツはパンク直結、
イエローモンキーは70年代ロック直結、
椎名林檎はごった煮、、
という具合なのだなあと、いうのが、なんとなくわかってくる。
そうなってくると、リアルタイムで聞き逃していた邦楽アーチストも面白くなってきます。
シティポップ(山下達郎、大貫妙子、大瀧詠一、、)、テクノ(YMOと、高橋幸宏、細野さん等)、その延長線上にいた渋谷系アーチスト(ピチカートファイブ、オリジナルラブ)、どこにも属さなかったように見える岡村靖幸などなど。。。
大きな歴史を俯瞰してみて、そこに自分の気に入ったアーチストを置いてみる。
この手法は、歴史の勉強が参考になっているのかもしれません。俯瞰して、そこに各国の出来事を置いてみる、どの出来事がどこに影響をしているのかを矢印で書いてみる。すると複雑だった世界史が、紐解けてくる。
というわけでなかなか面白い変遷をたどっているなと思うわけです。
雑感でした。
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