番外編:ハード・ロックシーンを辿る旅 ver.2 / 70年代ロックの潮流・様式美思考のバンドたち / Blue Oyster Cult、ユーライア・ヒープ、ウィッシュボーン・アッシュ & モーターヘッド
ディープパープル直結の哀愁のメロディ
ヘヴィメタルの構成要素の記事(全6回)の中で、
、、様式美というものについて語っておりますが、メタルとハードロックというジャンルに、うまく当てはまらないアーチストも多数存在していました。
ものすごくざっくり言ってしまうと、ディープパープルに漂っていた雰囲気を兼ね備えていたともいえます。
というわけで、今回は、ディープパープルの系譜に位置するアーチストを紹介してみます。
まさに70年代の香りを感じさせる面々です。
でも、70年代の香りとは?という向きもあろうと思います。それについて簡単に。
70年代の音楽と80年代の音楽にある違い
では、70年代と80年代の音の違いについて見てみます。
英国的な哀愁が、様式美の要素ではあるのですが、70年代という時代は、英国に限らず、米国などの世界的に有名なアーチストもかなり、哀愁が漂う楽曲を奏でておりました。
例えば、
ビリー・ジョエル - Honesty
エルトン・ジョン- Your Song
オリビア・ニュートン・ジョン- Have You Ever Been Mellow?
ポール・マッカートニー- Maybe I’m A Amazed
クイーン- Love of My Life
これらの楽曲にある哀愁の雰囲気、年齢を問わず、哀愁を感じるのではないでしょうか。曲調がマイナーであるということもありますが、それ以上の革新が80年代を迎える頃にありました。
キーボード、シンセサイザーの登場ですね。これが70年代と80年代の決定的な違いです。
ビリー・ジョエル- We Didn’t Start the Fire
エルトン・ジョン- Runaway Train
オリビア・ニュートン・ジョン- Physical
ポール・マッカートニー- Coming Up
クイーン- Radio GaGa
この違いわかりやすいですよね。
70年代に大ヒットを飛ばした方々は、80年代は往々にしてそれ以上の成功を収める事ができていません。
ポール・マッカートニーも80年代はマイケル・ジャクソンと共演したりしてましたが、マイケルにビートルズの権利を買い取られることになるなど、あまり良い話題はないですね。
この70年代の名残が80年代には消え失せていて、70年代の原型が90年代に復活してきたという流れですね。
たとえば、
オアシス- Don’t Look Back in Anger
ポール・マッカートニー- Beautiful Night
60年代、ロックがポップス以上に広まったのは、あの音を遠くまで轟かせることができたからで、それはアンプの技術革新によるところがありました。
80年代の音楽のゴージャスさは、キーボードの一般普及によるものが大きいのです。
2000年代、もはや、生の音がアンプラグド以外では聞き分けにくくなっていて、かつジャンル分けが難しいアーチストが増えたのは、音楽録音の基盤となるシステムの革新があったからですね。インターネットの発展で、PCが一人一台レベルになって、誰もが作曲を簡単に、過去の音をサンプリングするなどでして、作る事ができるようになったからですね。
この大きな歴史の中にあって、いわゆるハードロックというジャンルが形を成していたのは70年代から90年代くらいまででしょうか。
それ以前は、混沌としたロックでしたし、これ以降はデジタル的な音の混入で再び音が混沌としてきています。
哀愁のメロディ満載の70年代ハードロックバンドたち
では、哀愁という要素がのこっていた70年代という時代に活躍していたハードロック(ややメタル風味)のバンドをいくつかピックアップしてみます。
Blue Oyster Cult
後年、米国ハードロックバンド、スキッドロウがカバーするなど、90年代米国ハードロックの原型を備えていたバンドです。まさにカルト的な人気があったバンドですね。そういえば、00年代にメタリカが発表カバーアルバムでも彼らの曲が取り上げられていました。
では、その楽曲をまず。
Godzilla→スキッドロウがカバー
Astoronomy→メタリカがカバー
そのものずばり、ゴジラという楽曲は、あの怪獣をモチーフにしている通り、ヘヴィな音が満載のヘヴィロックです。
翻って、Astoromonyは思いっきり哀愁、様式美あふれるメロディアスな楽曲。この音楽性の幅が、後年、幅広いアーチストに愛された秘訣でもあったでしょう。
マイナス面としては、バンドのアイデンティティが捉えにくくなっているところでしょうか?全体像を知るには、ある程度の聞き込みが必要ですね。それなりの枚数のアルバムを聞く必要があるかと思います。
では、このバンドの楽曲をいくつか紹介してみます
Don’t Fear The Reaper
Burnin’ For You
ヘヴィさ、哀愁のメロディが混在となったバンドでした。
Uriah Heep(ユーライア・ヒープ)
次はこちらのグループ。
このバンドは、オルガン(ディープパープル、レインボーを思わせる)がキーの、わかりやすいハードロックを演っておりました。
まずはいくつかご紹介します。
Look at Yourself
Easy Livin’
非常にわかりやすくて、ディープパープルやキッスなどが好きな方にとって、とっつきやすいのでは、ないでしょうか。
こういったわかりやすさが魅力ですが、ややプログレッシブロック的な楽曲もあり、たとえば、
July Morning
哀愁があり、長尺であり、構成美がああるということで、メタルの様式美の要素がつまっております。
この楽曲、7月の朝というタイトルですが、思い出があるんですよね。
当時、大学の試験勉強をしていて、勉強の友はマサ伊藤のラジオ。明け方の5時くらいまで放映していたラジオでした。(生中継)。時間だけはたっぷりあったので、土曜の夜は時間をかけてじっくり勉強をしていて、そして、そろそろ夜が明けるかなという5時ちょっと前。ラジオから聞こえてきたのが、このJuly Morning。夏の朝は早いですから、白みかけてきた窓の外を見ながら、なんとも言えない感慨深さがあったのを覚えています。
このバンドは、息の長いバンドになり、その過程でボーカルが何度か変わっていますし、メンバーががらっと変わったアルバムもありました。アルバム自体も完成度がまちまちになっていきましたが、それぞれのアルバムの中にも、光る楽曲がいくつかありました。
そんな楽曲を紹介してみます。
I’m Alive
疾走感がたまらないですね。
さて、この2つのバンドを聴いてみていかがでしたでしょうか。哀愁のメロディを感じていただけたのではないかと思います。
さらに、、、
Wishbone Ash
このバンドもまた哀愁に彩られたバンドでした。楽曲によってはブルーズ臭さもあり、ブルーズと様式美のハイブリッドバンドだったといえるかもしれません。
ロック史上に残る傑作、永遠の名盤がこの「Argus」というアルバムです。
Warrior
Throw Down the Sword
さて、今回の記事の最後は、哀愁もあるけれども、よりソリッドに、よりハードな路線を歩んだバンドをご紹介します。
Motörhead
徹底徹尾、最初から最期まで音楽の路線を一切変えなかった、愚直なまでに自らの音楽性に殉じたこのバンド、今もって称賛しかないですね。
このモーターヘッドというバンドは、リーダーであり、ベーシストであり、ボーカリストだったレミーという人物の体現ともいえます。
このバンドもまた、70年代から80年代への橋渡しをしたと思います。
Overkill
Iron Fist
まさに男気。徹頭徹尾同じ路線を追求していったバンドとしてはAC/DCがいますが、彼らと同じくらいリスペクトの対象となるバンドでしたね。
Motorhead
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
今回の最後の曲は男気モーターヘッド最大の名曲です。
Ace of Spades
次回もよろしくお願いします!次回はプログレッシブロックの遺伝子を追求してみます。
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