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椎名林檎 「夢のあと」 (911を受けて創作された楽曲_その2) 〜 時代を象徴する作品Vol.3
2001年9月11日
あの日、あの時、あの場面。
1995年に続いてまたもや「何が起きても変じゃない時代」がやってきたのかと。
そんなことに愕然といたしました。
この日を境にして、イラク戦争、そして今へと続く災厄の種が蒔かれました。
20世紀初頭にみる類似性
かつてスペイン内戦が起きていた時代。
イデオロギー、主義、主張、信じている神、そんなものの違いによって一夜にして隣人が敵に成り代わっていたそんな時代がありました。
そんな混沌とした時代、つまり一切の多様性を排除するような時代には、こんな時代に抗うかのように多くの芸術が沸き起こってきます。そう芸術の多様性を武器にして。
この時期、
スペインからは、詩人のガルシア・ロルカ、画家のピカソ、ダリ、彫刻のミロ、スペイン内戦を舞台にした写真家ロバート・キャパも登場、チリから亡命してきていた詩人のパブロ・ネルーダなどが同時多発的に活躍をしていました。
彼らが行っていたのはいわば、多様性の復権であり、この多様性こそが芸術の持つ力。彼らはそれを用いて時代に抗ったのだと思います。
「不惑の余裕」
2018年、椎名林檎の「不惑の余裕」ツアーのラストソングは「夢のあと」という曲でした。
手を繋いで居て
悲しみで一杯の情景を握り返して
この結び目で世界を護るのさ(一部引用)
この曲は911の直後に書かれた曲だそうです。
諸事情あり、現場を離れていた彼女が911を目の当たりにしたとき。
かたわらで眠っている子供の手を握り、その時の感情を楽曲にのせた。
そんな風に、その時の感情がしたためられた曲なんだそうです。
握った手=「結び目」
大いなる悲劇、大いなる歴史を前にすると、人は誰でも無力さを感じ、やるせない気持ちになってしまうものです。
しかし、この曲はそんな感情を覆すだけの、静かな力強さに満ち溢れていると感じます。
手をつないで居て
喜びで一杯の球体を探りなおして
この結び目が世界に溢れたら
ただ同じ時に遭えた幸運を繋ぎたいだけ
この結び目で世界を護るのさ
未来を造るのさ(一部引用)
この曲の、
冒頭では、「悲しみで一杯の情景」と歌われていますが、
後半では、「喜びで一杯の球体」となり、
同じ時代に遭えた、同じ時代を共に生きている幸せに感謝し、「結び目」で新たな時代を造っていこうという風に楽曲は結ばれます。
彼女と同じ時代に生きていて、生で歌を聴ける幸運をかみしめながら。
椎名林檎との遅い出会いは、出会いという事実の幸運に覆いつくされて、、と、、
そのライブの夜、僕は改めて椎名林檎の熱狂的なファンと化したのでした。
彼女はこの後、立ち上がり、東京事変を結成したようです。
911が生み出した芸術
言ってしまえば、単なる1曲ではありますが、その1曲が力を持つことがある。
力強い希望に満ちたこの曲を同じ時代に聞ける幸運に感謝しながら、、椎名林檎(東京事変)との次なる遭遇(ライブ)を待ち望んでおります。
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