ドラえもんの名言と「少年時代」を想う 〜 「少年時代」 井上陽水
田舎は時間の流れが相対的に緩やかである。
そんなことを、都会にいる現在から少年時代を振り返ってみると強く思う。
田舎はなんといっても空が広い。雲がゆったり流れていて、鳥も心なしかゆったり翼を広げている。車の量も少ないし、バイクの音もしないし、電車も小学3年の時に廃止になったので電車の音も踏切の音もしない。
周りの空間の広さ。そして音。それが時間の緩やかさを感じさせる要素だったのかもしれないと思い当たったのだった。
さらにもう一つ。
大人になった現代の3年間と中学時代の3年の時間の密度の濃さの違い。それは圧倒的に中学時代の3年の方が濃い時間だった。今の3年はあっという間に過ぎていく。3年も5年も変わりないくらいに。
つまり年齢による時間流れの感じ方の差異もある。
空間の広さ、騒音のなさ、若さ。
この3大要素が重なっていたのが地元で過ごした少年時代だった。
あの頃、時間は無制限に自分たちの前に広がっていていて、好きなことをなんでもできた。
アニメを見る、おもちゃで遊ぶ、漫画を読む、スポーツして遊ぶ、公園に行く、川辺で魚を釣る。
特に漫画からはたくさんのことを学んだ。
例えばドラえもんだ。ドラえもんは小学生にとって、いろいろな意味での勉強のタネがあって意外にも真実をついた言葉が多数存在している。
名作「のび太の結婚前夜」からはこちら。
今思えば、この漫画からはたくさんのことを学んできた。教えてくれたのは先生でも教科書でもなかった。
その中で最も印象的だった言葉がある。それはドラえもんがのび太に語り掛けるこんな言葉。
時間は無制限に、自分たちの前に広がっていると思っていた小学生には衝撃的だった。昨日は帰らないし、先週も帰らない。だから時間は大切なんだと。
幼少期という時代にとって漫画は教師のようなものだった。
あの頃。
僕たちは、日々遊び惚けながらも、日々何事かを体の中に染み渡らせていっていた。
昔を振り返る度に、そんなことを想う。