「小早川家の秋」小津安二郎(日本映画)
もう9月ですが、まだ残暑が厳しいですね。
先週あたりまで昼間は、気温も高めで、夏のようでしたが、最近、特に夜はめっきり秋の気配が漂いだしました。
もう鈴虫が鳴いております。
涼しい夜半に、ベランダで虫の声を聞きながら、お茶を飲む。それはもう、至福のひと時ですよね。
そんな秋の訪れを感じさせてくれる作品をご紹介いたしましょう。
それが表題作。
小津監督晩年の作品。
原節子は、これが最後の小津作品となりました。
かつての愛人のもとに通い詰める道楽者の老人と、彼の周りであたふたする家族を描いています。
今回は松竹を離れ、東宝にて撮影したとのこと。
昔の日本映画事情では、映画会社によって監督、俳優の囲い込みがあったんでしょうか?
この作品では、司葉子が出演していますが、前の作品『秋日和』で、
東宝から司葉子を借りたお礼なんだそう。
映画は、冒頭から、コメディタッチですすむんですが、終盤に進むにつれて、死生観とか、無常観が漂いだしてくる。
自分自身の人生を振り返りながらカメラを回し続けたのかとも思えるような、いってしまうとダークなラストではあります。
カラスがいたりとか、火葬場の煙突から出てくる煙の感じとか・・
秋の風景を人生の流れに置き換えてみたかのような雰囲気ではありますが、場所は変われど、小津監督のカメラショットは健在で、素敵な風景を切り取って見せてくれます。
ちなみに、原節子さんは、喪服姿でとてもきれいでした!
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