「ほっこり授業」のしかけ③~発表を1人で終わらせない~他者に自己を見出そう
「発表を1人でおわらせない!」のネタ元
前々回で「種本があります」と書きました。筆者が「目指していた算数の授業は、これだ!」と思ったものです。その後、続編も出版され、授業の様子をスマホで見ることができるようです(ええ、すごっ)。紹介しておきます。すっきり紙面で老眼の筆者にも優しい本でした。
おススメの1冊目 20日間でできる 学び合いスキル30の算数指導
おススメの続編 対話を楽しみ、学びを深める算数指導
著者・出版社 石田淳一著 東洋館出版社
※取り合えず、アマゾンにリンクしておきます。
先生たちは、なぜ「発表」の呪縛に囚われているのか
教員同士の会話の中では、学習の様子を伝えるとき「Aさんよく発表するよね」「Bさん、なかなか発表しないよね」とか言うことがあります。「発表」が一つの共通の指標であり、「発表」自体が特別な能力として認知されているようです。これも、前学習指導要領の評価項目に「関心・意欲・態度」があり、現場の先生たちは「これを絶対評価しなければいけない」という難問を抱え、「発表」という個数で数えらえるパフォーマンスが、個の「関心・意欲・態度」の指標として、先生たちに刷り込まれてきたという経緯があります。
「言語活動の充実」が、個の考えを深化させる方向ではなく、目に見えるパフォーマンスが「充実」だと思い込み、テクニックやトレーニングといったノウハウが先行していきました。もちろん「考えの深化」に言語活動を取り入れた先生たちは多いと思います。「言語活動の充実」と謳っているように「活動の充実」が目的となり、つたないけれど「自分の考えを伝えたい」という子どもの欲求は、目に見える素晴らしいと評価されるパフォーマンスとはならなかったのです。子どもが、自由に思いをしゃべれる授業はどこかへ行ってしましました。
1人で終わる発表は、人をつなげない
もう一度、ここまで出てきた「ほっこり授業」のキーワードをまとめてみます。
授業で子どもが求めているのは「自己の存在」
自己を他者に見出す、他者を自己に見出す
「助け合って学ぼう」が子どもと先生の合言葉
「見落とし」「聞き逃し」する子を友達がカバー
学習のめあてと学び合いのめあてを両立させる
子ども相互が関わるしかけ=協働的な学び
協働的な学びで個をアップデート
発表は一人で終わらせない
「発表を1人で終わらせない」は、「子ども相互が関わるしかけ」です。
もし、このしかけを「つまり、発表できると、先生が認めてくれたという達成感で、算数好きっていってくれるということでしょ」という先生目線の見方になってるとしたら、それは、「発表の呪縛に囚われている」かもしれません。
筆者は、子どもの発表後に「つなげてください」というようにしています。そして、20秒待つ。不完全な発表なら付け足し意見が出ます。発言者がいなければ、「グループで、確認しよう・気づきを話そう・相談しよう」と少し間を取ります。「(盛り上げっていた)〇班さん、どんな意見が出た?」と着座したままでリサーチします。(もちろん周りに聞こえる声で)「オレらも同じ」とついつぶやきが出ます。「ナニナニ、ちょっとそれつなげてください」と発表を促します。
似たような発表を促す先生の働きかけのたくさんの事例が、種本「20日間でできる 学び合いスキル30の算数指導」にあります。
「発表」を学習の成果ではなく、「思考の散歩」ととらえて授業をしていくと、協働的な学びが「個のアップデート」になり、「自己を他者に見出す」「他者を自己に見出す」場となります。先生の地図にない「思考の散歩道」がある授業は、とっても楽しいです。
このシリーズは、とりあえずここまでです。
次回もまた語ります。いつも見てくださっている方たちが居て、とっても嬉しいです。ありがとうございます!