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英 弘美(はなぶさ ひろみ)
2021年12月12日 20:11
冬。30歳になった私は、休日に夫と衣替えをしていた。着れるものは取っておく、着れないものは燃えるゴミ袋に放り込む。そんな作業を繰り返してそろそろ2時間が経っただろうか。「ふぅ、それにしてもすごい数の服だな」「ごめんね、ほとんど私の服なのに手伝ってもらちゃって」「いいんだよ。どうせ休みなんだし。はい、これ最後の段ボールね」うんと言って受け取った段ボールには、どこか懐かしさを感じた。「
2021年12月10日 17:45
本作品では一部グロテスクな描写がございます。「では、次のニュースです。福岡県福岡市の中学校で、今月7日、中学3年生の女子生徒が包丁で刺されて死亡し、1つ下の学年の女子生徒とが殺人の容疑で送検されました。逮捕された女子生徒は『私よりハートをもらっている事が憎かった』などと供述していおり、調べによると、女子生徒はハート依存症の可能性が極めて高いとの事です」朝、いつものようにスマホをいじりながら
2021年12月9日 13:51
キーンコーンカーンコーン4限目終了の鐘が鳴り、同時にクラスの至る所で腹減ったと声が聞こえる。昼休み、母が作ってくれた色とりどりの弁当を広げ、好きなものは後に取っておく派の僕は苦手なプチトマトから手をつけた。すると、友人の山本がガタガタと音を鳴らして僕の机の正面に椅子を置いた。「よっ、一緒に飯食おうぜ」「いいけど」そっけなく答える僕に冷たいな〜と笑い流す山本。山本とは高校2年になっ
2021年11月17日 17:49
瞼が重い。体も重い。それでも必ず行かねばならない。会社というのはそういう場所だ。「おはようございます」挨拶をすると、代わりに部長の怒声が飛んできた。「おい山田!今月のノルマ、クリア出来てないのお前だけだぞ!」「すみません」「謝りゃいいって話じゃないんだよ!5年も営業やってて何やってんだ。お前の代わりなんていくらでもいるんだからな!」食品メーカーに勤める僕は、小売店へ行き、うちの