自分に注意を向けすぎるとメンタルが低迷する
あがり症・赤面症の人は、人前でスピーチしなければならないとなったとたん、きちんと喋り通せるだろうかと不安になり、顔が緊張し手が震えてきます。
パニック障害の人は、パニックの発作が起きそうなシーンを想像しただけで、恐怖が湧いてきます。パニック発作の予期不安で行けなくなった特定の店、満員電車、人が多すぎる空間などなど。
不安症の方は、道を歩いていて、角を曲がった時に、苦手な人とばったり会ったらどうしようという、ありもしない予期不安を抱くことがあるかもしれません。
こういうメンタル状態は、相当な居心地の悪さを伴います。
もちろん、メンタルに問題を抱えていない人も、「スピーチ」「満員電車」「苦手な人がいる」という場面で、全く動じないわけではありません。ちょっとやだな、と思ったりはするわけです。
でも、健常者は特にパニックになるほどの不安や恐怖は感じないわけですね。
その違いはどこにあるのでしょうか?
実は、ここに特定の悪循環パターンがあるんです。
■自己注目のしすぎ
不安障害やパニック障害の方は、自分の状態に注目しすぎる傾向があります。
しかも、ちょっとやそっとの注目ではなく、100%自分の事に集中してしまいます。
自己注目しながら、こんなことを考えています。
手が震える→手の震えを抑えないと緊張がバレてしまう
手汗が気になる→汗で緊張がバレてしまう
顔が赤くなる→顔が赤くなっているのを悟られたくない
動悸がはげしくなる→呼吸が早くなる→過呼吸
身体が緊張する→緊張してはいけない!
場違いなことを言ってしまうんじゃないか
変な人と思われるんじゃないか
こんなこと考えてると、「焦り」しか生まれませんが、でも実際人前に立つとこうなってしまいがちです。
ただ、ここに書いたことって全部、「自分に関すること」なんですよね。
で、こういう不安を、速やかに解決したいと念じても、良くならずにむしろ悪化するという悪循環が形成されます。
自分のダメなとこ探し → ダメなところを今すぐ改善しようとする → パッと状態が解消する、なんてことにはならない → 良くならないので、余計焦る → 焦るので余計に手が震え緊張が増大する → 焦る → 増大する → (無限ループ)
悪循環ですね(笑) 笑ってる場合じゃないですが・・・
■自分以外にこそ注目すべきことがある
とはいえですよ、人間には、自分だけでなく周囲・他者に注目できる能力があります。
その能力はあがり症になっているその人本人にもありますし、誰にでもあるものです。
というのは例えば、
誰か同僚と話し込みながら、自販機の前に行き、お金を入れ、ジュースを手に取り、お釣りを財布に直し、ジュースをひとくち口にすること、できますよね? あがり症の人にはできない、なんてことはありません。
車の運転をしながら、周りの状況をミラーなども使って確認しつつ、同乗者と喋りながら、カーナビ上の地図を意識して方向を確認し、現在時刻と到着予定時刻を確認し、のどが渇いたので飲み物を飲む、なんてこともできますよね?
あがり症なので車が運転できない、という人は聞いたことがありません。(車の運転でパニック発作になるという人はいます)
ま、でもジュースを買うとか車の運転は大勢が見てるわけじゃないので大丈夫だけど、「大勢の人が自分に注目している」という場面が苦手、というのはあると思います。
そういう時に、「自己注目」グセが出ると、悪循環が形成されるので、
「自己注目」という部分をうまく外していけると、全体の症状が自然と和らぎます。
具体的には、こんな感じで他のこと(相手・環境)に注目するのが効果的です。
聴衆の興味分野
みんな何を聞きたいと思って集まっているんだろう?
みんなが興味ありそうな、つかみに使えるネタはないかな?
視覚
今日は女性/男性メンバーが多いな
相手の服装
あえて別のものに注目:部屋の中にある赤い物・丸い物・数字・アルファベットなどを探してみる
聴覚
相手の声の調子
空調の音
嗅覚
コーヒーの香り
部屋の匂い
状況
空調はちょうどいいだろうか
時刻や天気
ポイントは、「自己注目はゼロにしない」ということですね。自己注目をゼロにするのはまずもって無理ですし、「自己注目と不安感をゼロにしなくてはいけない」とまた無理筋の信じ込みを自分に強制すると、「そうならない自分を責める気持ち」が出てきて、ややこしくなりますww
■魅力的な態度とは
さて、最後に、あなたが携帯ショップの店員さんと会話する時に、態度として、どちらの方が魅力的ですか?
店員Aさん:自己注目しすぎていて、自分自身のことにしか興味がない。自分はおかしくないか、手の震えがバレていないか、ばかりに気がいっている。相手が話を理解してくれているかを観察する視点は一切なく、ただ説明文を正確に読むことだけに注目している。
店員Bさん:こちらのことに興味を持ってくれる。生活スタイルについて質問してくれ、こちらのパーソナリティにあった最適な商品や使い方を提案してくれる。説明の理解度を都度都度確認してくれ、分かりにくかったところがあればそこを中心に詳しく説明し直してくれる。
店員AさんとBさん、どちらが魅力的ですか?
人間関係は「鏡」なので、魅力的だなーと思う人には、こちら側も自然といいリアクションでフレンドリーな態度になるものです。そうすると、お互いのメンタルにも良い影響を与えますよね。
相手を無視して自己注目を続けるとメンタルが悪化しがちで、
相手を認めて相手に注目するとメンタルが良好になるのは、
そういう鏡の法則が働くからですね。
今日はそんなところです。それではまた!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?