林音生(はやしねお)

僕の「小説」を少しずつ上げていきます。 精神障がいを題材にしたものです。 イラスト:イラストAC、シルエットAC、他

林音生(はやしねお)

僕の「小説」を少しずつ上げていきます。 精神障がいを題材にしたものです。 イラスト:イラストAC、シルエットAC、他

マガジン

  • 復刻版3「センチMENTALミーティング外伝!」

    ~「ミーティング」メンバーの秘話6選~ 「センチMENTALミーティング!」(上下巻)の外伝。7名の各キャラの背景やその後のことが語られている。「ミーティング!」本編をよりよく楽しむための資料となるだろう。巻末には、人気の「交換日記」も付録。

  • 復刻版2「センチMENTALミーティング!《下》」

    ~さらなる一致団結の会議録~ 《上》に続き、心優しき精神障がい者たちがミーティングを通して絆を深めていく。イタリア遠征・結婚祝いなど、単なるミーティングの枠を超えた内容となっている。

  • 復刻版1「センチMENTALミーティング!《上》」

    〜心優しき者たちによる一致団結の会議録〜 心優しい精神障がい者たちによるミーティングの様子を、オムニバス形式で描いた作品。彼らの絆や愛、支えあいなどがテーマとなっている。

最近の記事

【1】 ビターチョコ・ラブ

私、東瑞⾹(あずまみずか)は、⼤学に通いながら、とある個別指導塾で「チューター」としてアルバイトをしている。 「チューター」というのは、⽣徒の進路相談を受けたり、勉強上のアドバイスをしたりする役目の⼈のことである。⽣徒の指導は、講師とチューターがタッグを組んで進めていく。 そして、私が今、タッグを組んでいる講師が、私の彼⽒、森俊⼀くんである。私たちは同い年・同じ学年で、それぞれ別の⼤学に通っている。 私と森くんの馴れ初め(なれそめ)は、今から約2年前のホワイトデーの⽇のこと

    • 復刻版3 まえがき

      この作品は、「センチMENTALミーティング!」(上下巻)の「番外編的作品」として、今回、新たに他作品より選定したものを編んだ作品である。なお、現状に合うように一部、改変を施した。 この作品は、各キャラの背景がわかると同時に、今回の復刻版全作品を通したテーマである、「障がい者同士の愛と絆、および助け合い」「頑張る障がい者に対する心ある健常者の愛」を、よりよく描いたものとなっていると思う。この作品を通して、その美しさがうまく伝わればと願う。 これらのテーマは、僕の究極の理想であ

      • 【付録】 交換日記2

        7月7日 北川 今⽇は、仕事を終えて帰宅し、⼣⾷を取ってから、林先⽣に紹介していただいた、オンライン・イタリア語スクール「ビゾーニャ」のレッスンを受けた。 今⽇の先⽣は、40代男性の先⽣で、名前は「マリオ・タッキーニ(Mario Tacchini)」先⽣。いかにもイタリア⼈という感じのダンディなおじさんだ。 今⽇の⽇記では、その時の模様の冒頭部分を、⽂字に起こして、⽇本語に訳したものをご紹介する。オンライン・レッスンってこういう感じなんだ、ということがわかるように、訳せてい

        • 【第192回】 ハッピー・ウェディング!

          「さてさて、今⽇のミーティングの司会進⾏は、林先⽣に代わりまして、ワタクシ、桝井裕仁が執(と)り⾏わせていただきます! では、なぜ林先⽣ではなく、ワタクシなのか? それは……俺がやらなきゃ、誰がやるねーん! って感じなんですよね、今⽇は。 はい、お堅(かた)いのはもう終わりにして、 みなさん、⾏きますよ。林先⽣、北川さん……せー の。」 「ご結婚、おめでとうございまーす!!」 そうなのである。今⽇は、私と林先⽣の結婚祝いにと、みんな、ここ、カフェ 「エスペランサ」に駆けつけ

        マガジン

        • 復刻版3「センチMENTALミーティング外伝!」
          2本
        • 復刻版2「センチMENTALミーティング!《下》」
          7本
        • 復刻版1「センチMENTALミーティング!《上》」
          7本

        記事

          【第175回】 悩み相談

          今⽇は、私と林先⽣、桝井さんの3⼈が、⽇本に帰国してから、3回目のミーティングになる。今⽇の議題はいったい何だろう。 「では、今⽇の議題に⼊ります。実は、今⽇は珍しく、桝井君が、悩み相談に乗ってほしいと、⾔ってきていましてね。 僕が個⼈的には、相談に乗って差し上げたんですが、どうもいまいち、納得がいっていないようでしてね。そこで、みなさんのお⼒をお借りしたいのです。 ですので、今⽇は桝井君を話題提供者とした《分かち合いのトーク》の時間に、させていただきたます。」 そっか。桝井

          【第175回】 悩み相談

          【第169回】 インタビュー

          イタリア滞在3⽇目。私たち3⼈は「グルッポ・センチメンターレ」の事務所がある建物の前に来ている。ここは、ホテルや「ベル・パエーゼ」から、そんなに遠い距離にはなくて、バスで15分くらいのところだ。 それにしても、この辺の街並みは、想像していたのとはだいぶ違う。建物はかなり年季が⼊っていて、修復もあまりされていない様⼦だ。でも、あえてこの状態を残すことこそが、イタリア⼈の美意識なのかもしれないわね。 「さて、早速たずねてみましょうか。」 と、林先⽣。 私たちはエレベーターで、事

          【第169回】 インタビュー

          【第168回】 1ST ミーティング   IN イタリア

          私と林先⽣と桝井さんの3⼈は、今、イタリアに来ている。フライトは13時間近くかかったし、⽇本との時差も、かなりあるので、なかなか体がしんどい。3泊4⽇だから、時差ボケに慣れるころには帰国かな。 空港を出た私たちは、目的の場所へと向かう。 「さあ、古⽥さんのお店の近くまで、向かいましょうか。タクシーを⾶ばせば、20分くらいで着くっておっしゃってましたよ。」 そう。私たちのイタリア滞在の目的の⼀つは、ここに住む百海ちゃんに会いに⾏くこと。そして、百海ちゃんと⼀緒にミーティングも

          【第168回】 1ST ミーティング   IN イタリア

          復刻版2 まえがき

          本作は、前作《「センチMENTALミーティング!《上》」~心優しき者たちによる一致団結の会議録~》の続編である。ほぼ同じキャラ構成による、その後の話である。 本作では、「ミーティング」という形式は踏襲(とうしゅう)しつつも、内容的には「ミーティング」の枠を超えているものが多い。イタリア遠征に始まり、最後は林音生のプレ・ウェディングパーティと、あくまで「ミーティング」という形式を借りた大イベントを描いたものが多い。執筆当時の著者としては、「ミーティング」というものの究極が、こう

          【第157回】 出国前ミーティング

          私の名は、北川美⾹。「双極性障害」という「こころの病」を患っていて、仕事はラジオパーソナリティをしている。そして、私は、作家の「林⾳⽣(ねお)先⽣」主催の当事者グループ「センチMENTALクラブ」のメンバーで、今⽇は、その定期ミーティングの⽇なのである。 私たちは、これまでに、ミーティングをもう無数に重ねて、いろんな交流をしてきた。また、メンバーさんとは、個⼈的にも仲良くしていただいており、中でも古⽥百海(ももみ)ちゃんとは⼤親友の仲。でも、彼⼥は去年、結婚して、旦那さんとい

          【第157回】 出国前ミーティング

          【付録】 交換日記

          5月5日 森 今⽇は、夫は、仕事は休みだ。でも、休みの⽇と⾔えども、休んでばかりは、いられないようで、ずっとパソコンに向かって、仕事をしている。あまり無理は、してほしくないのだが、私のために頑張ってくれていることが、わかっているだけに、余計な⼝出しができず、もどかしい。でも私には唯⼀、彼のためにできることがある……。 実は私たちは、半年前に結婚したばかりの、新婚ほやほやである。夫とは、⼤学時代のバイト先である、個別指導塾で知り合った。同い年であるのだが、とある事情で私は留

          【付録】 交換日記

          【第135回】 活動報告・分かち合いのトーク

          「今⽇は《活動報告》の回にします。と言うのも、ご存じの通り、この前の⽊曜⽇に、藤井さんには、われらが「センチMENTALクラブ」を代表して、北川さんのラジオ番組に、出演していただきました。今⽇は、藤井さんに、その時の模様を、ご報告していただきます。なお、随時、北川さんも、補⾜説明に⼊ってください。」 そう。私の番組に百海ちゃんが出演してくれたのである。もっとも、収録というよりは、単に2⼈で、1時間「はしゃいだだけ」で終わってしまったんだけどね。だから、報告することなんてある

          【第135回】 活動報告・分かち合いのトーク

          【第134回】 お仕事のご依頼がありました!

          「では、今⽇の議題に⼊ります。」 待ちに待った、ミーティングの⽇がやってきた。今⽇は、全員出席だ。みんなと会うのは、2週間ぶりだが、みんなとは、例のアプリ「サイン」で、常にやりとりしているから、あんまり久しぶりな感じはしないな。でも、オンラインのみんなと、⽣のみんなとでは、接する時の温かみというか、なんか違う。やっぱり⽣のほうがいいわね。 「今⽇の議題ですが、実はひとつ、お仕事のご依頼をいただきましてね。そのご依頼主は……。」 「はい! 私です!」 「えーー!!」

          【第134回】 お仕事のご依頼がありました!

          【第125回】分かち合いのトーク

          「さて、今⽇も、ウォーミングアップから始めましょうか。今⽇は好きな⾷べ物について、簡単にお話しいただきましょう。順番は僕から時計回りで⾏きます。」 私が、この「センチMENTALクラブ」に所属し、ミーティングに参加するようになって、もう1年近くになる。この間(かん)、だいたい⽉2回のペースで、ミーティングが開催され、みんなと様々なことを、話し合ってきた。私は、もうすっかり、みんなと打ち解けている。絆(きずな)も深くなり、⼀緒にいろんなことをやってきた。 今⽇は、出席者が少

          【第125回】分かち合いのトーク

          【第102回】 電子交換日記(2)

          今⽇は、約2週間ぶりの「センチMENTALミーティング」である。前回、みんなで「電⼦交換⽇記」をすることが決まり、実際に、この2週間、みんなで試してみたのだが、今⽇は、その感想等を共有するための、ミーティングになりそうだ。 今⽇は、前回、ご⽋席だった、藤井百海さんも含めた6⼈全員が出席予定だ。例のアプリ「クイック・ダイアリー」で、出席者の告知が事前にあったのである。 前回、私は、みなさんに遅れをとり、⼀番最後の到着となってしまったため、今回は、さらに1時間早く到着できるよう

          【第102回】 電子交換日記(2)

          【第101回】 電子交換日記(1)

          復刻版1「センチMENTALミーティングⅠ!」~心優しき者たちによる一致団結の会議録~より 私は北川美⾹。「双極性障害」という「こころの病」を患っていて、職業はラジオパーソナリティをしている。今⽇は、先⽇、私の番組に出ていただいた、作家の「林⾳⽣先⽣」ご主催の集まり、「センチMENTALクラブ」のミーティングに、お邪魔することになっている。私が、友達を欲しがっているので、林先⽣が、お誘いくださったのである。 今、私は、ミーティングの会場として使う、先⽣の⾏きつけのカフ

          【第101回】 電子交換日記(1)

          復刻版1 まえがき

          復刻版1「センチMENTALミーティングI!」まえがき 本作は、障がい者同士の「一致団結」の「ミーティング」の様子をオムニバス形式で描いたものである。「一致団結」のバックボーンには、障がい者同士の「愛や絆、そして助け合いの精神」が不可欠だ。この作品では、各キャラのそういう心の通い合いを、存分に描いたつもりである。深く味わっていただきたい。 また、一部、「心ある健常者」との愛や絆なども描いている。実際はかなりまれなケースかもしれないが、僕は健常者とのそういう関係は十分可能であ