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【エッセイ】遅く来た青春を楽しみたい
私はイベント事が苦手だ。
さくらの季節
ゴールデンウィーク
夏休み
ハロウィン
クリスマス
正月
など
浮かれた街と人を見て
「騒がしいなくそっ!」
と思う。
世の中が作り上げた
金儲けの為の罠に
まんまと引っかかって
無駄なことに金を使って
馬鹿かと思う。
なんてね。
本当はただのひがみです。
*
ある時
「最近観光客が
そこたら中に溢れていてむかつく。」
と先輩に話したら
「ただの嫉妬だろ。」
と言われてはっとしました。
晴天の霹靂。
いや言い過ぎか。
*
私は学生時代
地味なグループに所属していました。
今の言葉で言えば陰キャでしょうか。
自分の高い声をからかわれるのが怖くて。
人前で話すことが怖くなって。
自分の子供っぽくて女性的な趣味嗜好を
馬鹿にされるのが怖くて。
素を出すことが出来なくなって。
そして
他人と居ることが楽しくなくなった時
私はどうにかして他人と
関わらないように生きることを選びました。
とにかく自分自身を
否定される事が怖くて仕方なかったのです。
そうやって学生時代を過ごしたものだから
多くの高校生や大学生が通るであろう
きらきらした学生生活に全く触れずに
ここまで来てしまいました。
実際にはきらきらした学生生活を過ごす人なんて
そんなに多くはないのでしょうが。
これも単なる憧れみたいな物ですね。
・
大人になって
別に
「誰も私の事なんて気にしていない」
事に気が付いて
他人と関わることが好きになった時
「本当は自分にもあんな風にきらきらした
学生生活を送ることが出来たはずなのに。」
と馬鹿みたいな勘違いをしてしまいました。
そんなのただの妄想でしかないのに。
例えば私が出来なかったこと。
友達とのディズニーランド。
サークルに入って
メンバーの恋愛事情を面白おかしく聞くこと。
たくさんで飲みに行って
酔いつぶれて記憶をなくすこと。
恋人との温泉旅行。
「自分にだってできたはずなのに。」
そんな後悔とも言えない
もやもやを抱えて
それらを実現している若者を見ては
「騒がしいんじゃぼけ!」
と心の中で暴言を吐いているのです。
なんと器の小さい人間でしょう。
*
今からだって良いはずなのに。
いつだってできるはずなのに。
大人だからって落ち着かなきゃなんて
いったい誰が決めたんだ。
成人を迎えたから。
30歳になったから。
結婚したから。
子供が出来たから。
例えばこんなことがきっかけで
急に大人に進化する訳じゃない。
10代の頃から何が変わったって?
別に根本は何も変わっていない。
子供の自分を抱えたまま
私たちは仕方なく大人になる。
世間が求める大人の姿を演じる。
いつだって私たちの中には
子供の頃の私たちがいるはずだ。
*
友達とのディズニーランドだって
恋人との温泉旅行だって
きっと今からだって出来るはず。
ようやく私は私を認めることが出来て。
多少なりとも他人の目を気にせずに
生きられるようになった。
遅く来た青春を
どうにかこうにか
楽しんでいきたい。