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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その14【トラウマ】

 本書のまとめの14本目。今回は「Chapter.10 境界線」です。

 かなり間が空いてしまいました。久しぶりにかなり強い落ち込みが出て,うつ状態になってました。

 気持ちも少しずつ落ち着いてきたので,ぼちぼちまとめていこうかと思います。

 全部の目次は,こちらの記事に記載しています。


Part3 人との関わり方を変える

Chapter10 境界線

いくつかの議論はあるものの,健全な境界線は自分勝手なものではない。境界線は自分を愛し,自分を思いやるものであり,同時に他者も尊重するのだ」(p.321)

 ここでは「心の境界線」について,著者の考える「他者との間にある2種類の問題のある境界線」と,「健全な境界線の引き方」を,事例を通して学んでいきます。

 著者自身,「心の境界線」が,人生の長い間,非常にお粗末なものだったと述べています。何も必要としない「クールな女」のふりをするのが,著者の「問題がある境界線」つまり「不健全な境界線」だったとのことです。

 そして,その「不健全な境界線」を,著者はやはり子どもの頃,両親を含む周りの大人たちから学んだのだそうです。

 著者によると,「健全な境界線」には,他者と自分との適切な関係性を維持するために必要である,という側面と,もう一つ,自分を守るために必要であるという側面があるということです。

 そして,不健全な境界線から健全な境界線に修復できない理由として,健全な境界線を引くことが「心の傷」を活性化させることもあるから,とも述べています。

 例として,「友人に何度もドタキャンされているが,帰属意識の傷が活性化していて,友人との関係において自分が帰属する最良の方法は,できるだけ感じよくしていることだと身についているため,失礼なことをされたと感じていることを表さないこと」が挙げられています。

 また,「境界線の侵害だと感じるものは,見たことや経験したこと,期待されたことなどによって,どこかの時点で教わったもの(p.326)」とも述べています。

 これらのことを知った上で,「不健全な境界線」とはどのようなものなのか,2種類の境界線について,事例を通して見ていきましょう。

2種類の不健全な境界線

  • 1,穴だらけの境界線(再びアリー(仮名)の事例)

 この境界線をもつ人は,「共依存,過剰な共有,常に確認したい欲求に悩まされ,人とつながり好かれるためにひどい扱いも受け入れてしまう(p.323)」のだそうです。
つまり,穴だらけなので,境界線を引いてはいるけれど,上手く機能していない状態と言えるでしょう。

 気になっていたマイク(仮名)という名の男性と恋人関係になれたアリーに,著者が二人の関係の状況を聞くと,彼が自分に興味を失くしているみたいだという。
 どういうことか聞くと,ここのところいつもデートに30分くらい遅れて来るのだそう。理由は分からないが,アリーが彼をバーで待っているとき,彼女はとても恥ずかしい気分になるという。
 それについて,彼と話をしたかどうか尋ねると,「彼の気分を害したくない(p.327)」という理由で,話せずにいるとのこと。
 著者は,アリーが彼との関係が終わってしまうリスクを考えると,彼が「待ち合わせに遅れる」というアリーの境界線を侵害する行為をしても,その行為を受け入れて我慢する方が安心だと考えてしまっていて,それは彼女の幼少期,母親との関係や,父親が同じことをしていたことで身につけたのではないかと分析した。アリーの境界線は,著者のいう「穴だらけ」の状態だった。そして彼女は彼と関係において,自身の境界線のことで悩んでいた。

  • 2,硬すぎる境界線(再びトニー(仮名)の事例)

 この境界線をもつ人は,「心を開いたり助けを求めたりするのに苦労し,他者を信頼するのが難しい。(p.324)」のだそうです。
 つまり,穴だらけとは逆に,境界線が「高いコンクリートの壁(同)」で,中も見えないし,ドアも出入り口もないので,人を寄せ付けない状態と言えるでしょう。

 父親が母親に身体的な虐待をしていた状況を見ながら育ってきたトニーだが,母親の解離状態はまだ続いていた。そのため,トニーは母親とのつながりを失ったのと同じように,誰かとの愛とつながりを失うことの恐れから,人間関係を避けてきた。
 ある日の相談で,2,3か月前に,彼は気になる女性と出会った。その女性のことが好きで,女性の方もトニーに興味をもって,たくさんのことを聞いてくれるのだという。しかし,その彼女に対しても,幼少期の経験で作った「硬すぎる境界線」のせいで,より踏み込んだ付き合いや言葉を伝えられないでいるとも言います。

 この2種類の不健全な境界線から,健全な境界線へと修復する必要を,著者もクライエント自身も強く感じていますが,ここで立ちはだかる大きな問題が,「心の傷が境界線を妨げる(p.325)」ことです。

 前述したように,健全な境界線は,「心の傷」を活性化させることもあります。

「関係が崩れたら…」「嫌われてしまったら…」

 実際には生じていないことでも,相手との関係を破壊するリスクが怖いので,ならば修復せず,不健全な境界線を維持することに意識が回ってしまいます。

 しかし,著者はこうも述べます。

「(穴だらけの境界線に対しては)関係を危険にさらさないために,黙って何事もないふりをすることを望んでいても,癒やしのためには別の行動が必要(p.329-330)」

「(硬すぎる境界線に対しては)人間関係や,つながり,癒やしも同時に断たれてしまう。(p.338)」

穴だらけの境界線(硬すぎる境界線)から健全な境界線へ(アリーと著者の事例から)

 この2つの不健全な境界線に対して,著者は7つの質問を用意しています。これらは,事例に登場したクライエントの方々も,著者自身も取り組んだワークです。
 この質問に答えることで,それぞれの境界線を作るに至ったのはなぜなのか,健全な境界線に変わったとき,何が恐ろしいのか,そして,健全な境界線に変えていくために,相手に伝えるべきことを考えられるようになっています。

 7つのうち,4つを紹介します。全て気になる方は,どうぞ本書をご覧ください。Amazonのページのリンクを一番下に貼っておきます。

・あなたの穴だらけの境界線(硬すぎる境界線)は,どの傷を守ろうとしていますか。
・それを健全な境界線に変えたら,どんなことが起こるのが怖いですか。
・自分自身を尊重しつつ,安心を感じるには,何が必要かを考えてください。
・相手が自分自身を尊重し,尊重されていると感じるには,何が必要かを考えてください。

―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――

「心の境界線」がChapter.10のテーマでしたが,私も「境界線」という言葉自体は知っていましたが,しっかり意識できていませんでした。

 そもそも私が幼少期の頃,両親が「子どもは子どもの世界や見方,立場がある(境界線がある)」ということを知らない人だった気がします。

 一応自分の勉強部屋はありましたが,私が部屋にいるときでも無断でドアを開けてベランダに通って行ったり,気持ちが落ちているときに,一応気にしてはくれるけれど「大人の考え」や「両親独自の考え」を,それらが唯一正しいかのように押し付けるように話してきたり。

 父親も母親も,結構お互いに言葉遣いがキツかったことを覚えてます。父親が無神経に「今日の晩御飯は塩味が濃い」と言うと,母親が「結局その味が嫌いなだけでしょ。じゃあ食べないでいい」と言い返したり。でもそこで終わり。特に喧嘩したりはしませんでしたが,父親は謝ったりはせずでした。

心の境界線」は,本書でもあるように,「自分も他者も尊重するためのもの」です。私はそれを根本的に知らずに育ってきてしまったのだろうと思います。

 7つのワークもやってみました。私は「硬すぎる境界線」が際立っているように思いました。相手に何かを頼んだり,信頼するのが難しいんです。仕事的なところ以外で「親しくなる」のがかなり苦手です。

 なぜ境界線が硬すぎるのかと考えると,信頼して接して,無神経な言葉や心に刺さる言葉を言われて,裏切られるのが怖いのだと思います。私の父が母に,また,母が父に言う刺々しい言葉を聞きながら育ってきたように,自分にそんな言葉が飛んでくるかもしれないと思うと,境界線を固くしてしまっているのかもしれません。


 さて,Part.3はこのあたりで終わりましょう。

 次回はいよいよ最終章「Part.4 あなたは再生できる」に入ります。

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