青井 葉

酔生夢死

青井 葉

酔生夢死

マガジン

最近の記事

夢日記

 野球場近くの交差点,信号待ちの列の後ろに洞窟がある。わたしはそこに住んでて、誰にもバレない。ないしょにしてる。  奥には弟が昔住んでた部屋がある。そこは明るくていろんな家の屋根が見える。窓を覗く。景色を確認する。鉢植えの植物がいくつかあって,腐っていたり,土だけのものもいくつかある。  弟のベッドの上には毛布がぐしゃぐしゃに置いてあって,さっきまで弟がそこにいたみたい。でもずっといない。  本当はずっといない。

    • 二日酔い

      まだ昨夜のアルコールが胃に残っている気がする。16時。 皮膚科のケミカルピーリングを辞めた。4ヶ月くらい通ったかな。一回5千円は財布が痛くて、ニキビも落ち着いたし辞めた。 バスでおばあちゃんちに行ってる。大雨で少し頭が痛い。昨夜の雷の轟音のせいか,気圧のせいか,酒のせいかは分からない。気分も少し悪い。 今夜か明日,恋人に会える。未定だ。どっちでもいいけど,早く会えるといい。 明日は大学の学祭だ。母さんと父さんも遊びに来る。彼らは私に会うことが目的ではなくて学祭を楽しみ

      • 日記

        ばかみたいに空が青い。もう18時前なのに昼過ぎみたいな明るさをしている。山際と窓枠の隙間に見える狭い空を見た。 チェーンの喫茶店はそこそこに混んでいて,隣の席の奥様2人は絶え間なくお喋りしている。誰かに電話をかけてみたり体を開いて笑ったりしながらずっと口を動かしている。 私の前に座る彼は,スマホで麻雀をしたり村上春樹を読んだり,器用に過ごしている。ブラックコーヒーを飲んでいるけど,カフェオレを頼んだ私よりずっと進みは遅い。そういえばコーヒーはそれほど得意じゃないと言ってい

        • 夢日記

          空腹なのにぽっこりとしたお腹を見下ろしていた。半袖の白いワンピースは肌着のような柔らかさ。 窓辺だった。レースのカーテン越しに午後の光がふんわりと伝わり,淡い影を作る。 「いい姿勢にならなきゃ」と思った。お腹が重くなってからというもの,ついついへっぴりごしになる。ふん、と力を込める。 「狭いのかな」と思った。私は腹の子に話しかけた。すまんね,腰が痛くなるもんだからさ。 「いいよ,別に」腹の子が答えた。あぁ会話できるんだ,と思った。 「私はさ,少し前まで産まれたくなか

        マガジン

        • 眠るまでの
          6本

        記事

          草臥

          カフェで本を読んでいた。ふと顔を上げると少し離れた席で大きなエコバッグを机に置いて腕を組んでいる男がいた。黄色い幾何学模様のエコバッグは見慣れた形だったが、私のものと違って汚れやくたびれた様子もなくキチンとしていた。整えられた顎髭を神経質そうに触る男の元に、野球帽とリュックを背負った少年が現れた。男は少年に席番を頼むと席を立った。エコバッグはちょうど少年の顔を隠していたので、私はそれ以上観察しないことにした。 あのエコバッグは何かの景品か付録だったのだろう。ひとり暮らしを始

          抹茶

          去年の12月中頃から付け始めた日記。6月18日現在、過去最高18日分を溜めていた。 病院終わりの昼下がり。地下一階にある喫茶店に来るのは今日で二度目。静かで正統派ながらどこか可愛らしい雰囲気の店である。ケーキと同じサイズのキッシュがある以外は食事らしいメニューもないので、ここに来る時はたいてい腹具合の微妙なときである。 今日も11時前に食べた朝食が腹に残っており、紅茶とケーキを頼むだけにした。濃ゆい抹茶のチーズケーキ。 抹茶を好きになったのはほんの数日前である。ずっと苦

          動物

          先日、ミニブタカフェに行った。重度のアレルギー体質の私には一大イベントである。 先の二月末にアレルギー物質を感知する神経を切除する、という手術をした。根本的な解決である。 というわけで一生縁がないと思っていた“動物と戯れる”が叶った。 猫カフェがイメージとして強かったが、近くのショッピングモールにミニブタカフェがあることを知った。気まぐれな猫ちゃんに比べ、人懐っこいミニブタは動物初心者に向いてそうだと思った。 実際行ってみると、まぁなんとかわいいこと。 ほとんど幼稚園

          夢日記

          懐かしさとせつなさで目が覚めた。目覚まし時計が鳴る7分前。 私はタンスの整理をしていた。何人かに手伝ってもらっていたが、今思えば彼らは知らない人達。でもとても気心が知れているようだった。 タンスは私の一人暮らしの部屋の中で、3つ4つ並んでいた。大きな部屋だ。これも見覚えは無いが、思えば実家の和室に似ている。 私はそのタンスに本を詰めたり絵を馳せたり、写真を飾ったりしていた。貰い物の茶器やよく分からないファイル、ノートが溢れんばかりだった。 なにか求められて、それを探し

          短期帰省

          2泊3日の帰省。 私のこと知っている人は飛ばしてくださいね。 大学4年の後期から休学中の私。抑鬱の兆候はあったけれど、きっかけは4年前期の保健師実習で様々な支援対象の家庭を見たから。自分の家族に重ねてしまって複雑性PTSDと診断された。うちが虐待家庭だったのよね。休学中は親元とは離れつつひとり暮らしは危険との判断で祖父母宅に住んでいる。両親は私を大切に育ててくれたけど彼らも若くて余裕がなかった。時間的余裕が生まれた今は、とても仲がいいよ。 今回は三兄弟の真ん中、弟の成人

          切手を集める男の話

          その男はいつも同じ席に座っていた。 4席しかないカウンターの一番奥。ほかの席よりも手狭だが、彼はむしろそれを好んでいるようだった。  来店する頻度は月に一、二回でそれほど目立った風貌でもない。まずコーヒーを頼み、席につく。  彼の異様なのはそこからである。カバンから慎重に一つの冊子を引き出し、そこに挟まれた半透明の小さな袋を、今にも壊れそうな硝子をつまむように持ち上げる。そしてしばらくその小袋の中身をじっと見つめ、動かない。その一切の動作は何か神聖な空気すら感じさせた。そ

          切手を集める男の話

          手術

          まだ鼻を拭えば赤茶色の塊が鈍痛を伴って出てくる。 2月27日に鼻炎に対する手術をした。noteを書くにあたって正式な病名と術式を確認した。 花粉の時期です。つらいね。 手術が良いとも限らないけど参考までに。 病名は3つ。 アレルギー性鼻炎、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎。 術式は2つ。 両内視鏡下鼻腔手術1型(下鼻甲介手術)、 両経鼻腔内翼突管神経切除術。 全身麻酔の手術は人生で初めて。2時間弱だったそうだが、瞼閉じたら終わってた。タイムスリップした気分。 少しずつ目が覚

          きょう

          朝から胸焼けのする話をひとつ。 今日は元々受診の日で、変更になったのでぽっかり空いた。 昨夜、正月中閉じていたマッチングアプリを開いた。ある人とチャットで話が盛り上がり、都合よく明日休みとの事だった。夕方から遠方の友人が来るとの事で、昼間ちょっとお茶しに行くことになった。 いつも直接会う前に電話してみることにしている。案の定というかチャットとは違う印象を持った。曰く電話が苦手とのことで時間決め等の少しだけすることにしたのだが、話し出しから漫談でも始めたのかというような勢

          ゆめまぼろし

          ただあることを認めてもらうのは夢幻、 と私は思う。 「ようちゃん、」 おばあさんが私を呼び止める。 「今日は元気ですか」 靴のかかとを整えていた私は顔を上げて 「はい、頑張ってきます」 薄く笑って答える。行ってきます、玄関を開けて閉じる音と行ってらっしゃいを背に受ける。 暖かい布団でたっぷり眠り、朝ごはんをもりもり食べて、それでも体や気が重い日がある。傍から見れば、不機嫌そうである。 それでも、邪険にされることなく、いつも通りに、あるいはいつもより気遣ってくれる。どんな機

          ゆめまぼろし

          「情がわくからもう君のnoteを見ない」 って言った人は昨日まで恋人だった。 何年かぶりに正真正銘の失恋をして、想像の何倍も落ちきっている。 こういうときに限らずだが、私は基本的に自分の内面をよく喋る。ミステリアスな女性に憧れたこともあるが、もはやこの節操なく喋る口こそ私最大のミステリーと言ってほしい。 その中でも悲しいことを喋るのは、少し理由がある。特にわかりやすく悲しいとき。 失恋が1番いい例え。大抵の人が失恋したらどうしようもなく落ち込むことを知ってる。そして

          あなたが大事にしているものを大事にしたいと願ってたら、それが自分だった、みたいな。

          あなたが大事にしているものを大事にしたいと願ってたら、それが自分だった、みたいな。

          大好きな人に、親友だと思ってるんですってくっきりと言って貰えたのが、なんだかんだずっといちばん心の上にある。

          大好きな人に、親友だと思ってるんですってくっきりと言って貰えたのが、なんだかんだずっといちばん心の上にある。