夢日記
空腹なのにぽっこりとしたお腹を見下ろしていた。半袖の白いワンピースは肌着のような柔らかさ。
窓辺だった。レースのカーテン越しに午後の光がふんわりと伝わり,淡い影を作る。
「いい姿勢にならなきゃ」と思った。お腹が重くなってからというもの,ついついへっぴりごしになる。ふん、と力を込める。
「狭いのかな」と思った。私は腹の子に話しかけた。すまんね,腰が痛くなるもんだからさ。
「いいよ,別に」腹の子が答えた。あぁ会話できるんだ,と思った。
「私はさ,少し前まで産まれたくなかったなぁと思ってたんだ。君はどうだろうか。」
ここまで腹が出ていれば中絶できないとうっすら気づきながら言った。
「さぁね,産まれてみなきゃ分からないかも。」
そっか。と言ったきり,腹の子は何も答えなくなった。眠ったようである。
いつの間にか私は,河川敷にいた。自分の口元まで伸びた草の中で,遠くうっすらときらめく水面を見ていた。
それはずっと東にいる友人の家の前だった。
「ねぇ***ちゃん」
あなたに愛してもらうには、私にどんな物語が付いているべきなんだろう。
誰も何も答えない。
やさしい光の中。