見出し画像

心がアルデンテになる。釜揚げ師走。

「師匠 冬はうどんが食べたくなりますよね
あたたかくてホッとする

釜揚げうどんってあるじゃないですか
揚げてないのに『釜揚げ』って言うのが
不思議なんです

私知らなくて
釜めしうどんのセットを想像しちゃいました

あれ?揚げ物は?
金色の衣をまとってなくて
紛らわしいですよね」


『何もたさない
 何もまとわない』

「素揚げみたい 
 素うどんか」

『そう 素揚げもしかり
 心の目でよく見て考えてごらん』

「熱湯で茹でるから
 素茹でじゃないの?

 釜揚げと素茹で
 違いって何?

『心頭滅却すれば火もまた涼し』

うどんの話がしたいのに
違いを知りたいだけなのに

いつの間にか禅問答みたいになる

でも師匠の言葉は愛情深くて
どこか楽しそうに聞こえる

かき揚げ
釜揚げ
素揚げ
素茹で

似ているようでまるで違う

「師匠 私考えました

心頭は滅却しても
うどんはしない

何もたさない
何もまとわない

ゆでたあと水で冷やさない
それが釜揚げ

なんじゃないかって」

私の言葉に師匠は静かに頷いた
それは私がずっと欲しかった答え

(410文字)

禅問答で、心がアルデンテになる。
釜揚げうどんは、ありのままの私。

たらはかにさんの
【毎週ショートショートnote】

お題は【釜揚げ師走】でした。

金色の衣のお話はこちらです。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

みなさんの毎日が
素晴らしいものでありますように。

#休日のごはん
#エッセイ
#コラム
#コミュニケーション
#わたしの居場所
#いま私にできること
#ひいろ
#ショートショート
#毎週ショートショートnote
#うどん
#釜揚げ師走
#健康
#しあわせ
#食生活
#今日のおうちごはん
#探究学習がすき

いいなと思ったら応援しよう!

ひいろ
最後まで読んで頂いて、本当にありがとうございます! 少しでも、あなたの心に残ったのなら嬉しいです。