詩人自らフィードバック 詩作1000本ノック(51~67本目)
□□ 詩 □□
◇ 51本目
頭の悪い僕を
どうぞ笑ってください
あまりにも無知な僕を
どうぞ笑って蔑んでください
そして
自分が誰よりも物知りで優れていることを
僕に自慢してください
僕は何ともありません
僕は無知だから
僕は何もできないから
みんなに力を借りることができます
神さまも力を貸してくれます
僕は
一番 頭が悪くて
一番 出来が悪いかもしれませんが
一番 友達に囲まれて
一番 助けてもらって
一番 幸せに生きています
◇ 52本目
さぁ 叫べ!
いま 生きたいと さぁ叫べ!
生き延びるために生きるのは
心を殺して生きるのは
諦めと妥協で生きるのは
本当はもうやめたいのだろ?
さぁ叫べ!
お前の魂の声を!
怒りも悲しみも
お前の全身で
解き放て!
新たな命のはじまり
生の産声
さぁ
今生きると
叫んでみろ!
叫んで!
叫んで!
叫び死ね!
◇ 53本目
そのままのあなたでいいのよ
あの日 ある女性がわたしにかけてくれた言葉が
わたしの救いになった
安心を与えられ 罪悪感からの解放
いままでのわたしでいいの
これまでのわたしでいいの
嫌いだった私を受け入れられた
でも待って
わたしはこれからも
これまでのわたしでいたくはないの
今までのわたしでいたくはないの
今までのわたしを
これからのわたしにはしたくはないの
そのままのわたし
ずっとそのままじゃ
わたしは嫌なの
だって
ずっとそのままになっちゃうじゃない
それでは
わたしがかわいそうだもの
これまでのわたし ありがとう
そして さようなら
わたしは
これからのわたしを生きていくわ
◇ 54本目
くるくるくるくる
お空からママが見えて
ママがとてもかわいかったから
くるくるくるくるーって
ママのお腹に入ったんだよ
動画で楽しそうに話す3歳のわたし
ママが大好きなこと
わたし 忘れてた
◇ 55本目
殺してみろ 殺してみろ 殺してみろ 殺してみろ
もっと残酷に
もっと醜く
憐みの一つも残さず
俺を殺してみろ
どんなに俺を傷つけても
俺の価値は何も変わらない
どんな殺し方をしても
俺は土となり水となり木となり
今よりもっと大きな愛で
お前を包むだけ
お前はそれだけ
愛されている
俺はそれだけ
愛している
◇ 56本目
わたしは
愛であることをやめない
光であることをやめない
わたしは
愛でいていい
光でいていい
やめず
そのままでいる
やめてしまうから
もう一度
目指さなくてはいけなくなる
そんな億劫なことは
もうしない
◇ 57本目
あなたが人を傷つけてしまうのは
あなたに愛が足りないのではなく
優しさが欠如しているのではなく
あなた自身への
大きな愛を持っているから
本当は
あなたはあなたが大好きで
全身全霊で
あなたを守っている
だから
あなたは人を傷つける
◇ 58本目
僕はひとり君を待つ
いつ来るかわからない
本当に来るかもわからない
だけどもし
君が僕のところに来た時には
君にどんな声をかけようか?
疲れ切った体と心が
少しでも休まるように
おかえり
と笑顔で迎えようか
すべてが壊れたこの世界で
今日も僕はひとり
君を待っている
◇ 59本目
もしもあなたに
待っている人がいるのなら
あなたは待ちなさい
ただ待ちなさい
いつ現れるかわからない人を
ただ待ちなさい
待ち人が来ることを信じるのではなく
ただ待ちなさい
そして
思い出しなさい
待ち人を
あなたがどれだけ愛しているのかを
◇ 60本目
国は滅び
わたしは生き残った
友も死に
海も空も
大地も死んだ
わたしは生き残っている
おぉ神よ!
この地獄の地に
わたしを生かした意味は
いったんなんなのだ!
なぜわたしは生き残ったのか
なぜわたしは生きているのか
この地獄の地で
わたしが生きる意味を教えてくれ!
◇ 61本目
旅人よ
お前が今 生きているのは
お前がそれを望んでいるからだ
さぁ見なさい!
お前のいる地獄を!
お前は地獄の中に
何を見出し
何を望むのか
そして生きなさい
望みのままに
生きたいだけ
生きなさい
お前の命が尽きるとき
お前がなぜ生き残ったのか
その意味に気が付くことだろう
◇ 62本目
国はなぜ滅びた?
2度も滅びた
わたしたちは
それなりにやってきた
問題はあったが
それでも
なんとか幸せにやってきた
しかし
引き返せないところまで行きつき
2度目の滅亡を迎えた
わたしはもう
国を滅ぼしたくはない
永遠に続く
愛に溢れた
平和な国に
生きたいのだ
3度目はない
だから神よ
教えて欲しい
なぜ
わたしたちの国は滅びたのだ?
◇ 63本目
旅人よ
国は滅びていない
滅びというものは存在しない
あなた方が
それまでの生き方をやめた
ただそれだけだ
暴力を使って
強制的にでも
やめたい暮らしが
国全体に広がった
だからあなた方はやめた
生のまま やり直す者がいた
死をもって やり直すものもいた
あなた方は選択したのだ
そしてこれからも
選択し続けなさい
本当に望む生き方を
選択し続けなさい
そうすれば
あなたが心配している
3度目の滅亡はない
◇ 64本目
滅びた国に
わたしは生き残った
そして いま
これからもここで生きていきたい
そう願っている
しかし
本当に生きていけるのだろうか
国は死に
人はいなくなり
大地も川も穢れ
わたしひとりが
オークの樹の下にいる
水はない
食べるものも 寝床もない
どうやってわたしは生き延びていけばいいのか?
◇ 65本目
旅人よ 安心しなさい
あなたの生存は保証されている
あなたは生きることを選んだ
だから
あなたが生存について
心配することは何もない
周りを見なさい
そして感じなさい
あなたのそばにあるオークの樹は
その幹で その枝で
その葉で その実で
あなたを守っている
あなたが生き延びるために必要なものは
すでにそこにある
あなたはただ受け取りなさい
遠慮なく受け取りなさい
オークの樹に甘えなさい
そして
生き延びるのではなく
ただ生きなさい
◇ 66本目
わたしはひとりだ
突如として国が滅び
突如として
父も母も兄弟も友も
目の前からいなくなった
突然の別れ
ひとりきり
寂しさ
悲しさ
不意に訪れる
圧倒的な孤独に
耐えきれなくなる
神よ
わたしに繋がりを与えて欲しい
孤独の夜は
もう堪えきれない
◇ 67本目
旅人よ
あなたはすでに繋がっている
あなたはあなたと繋がっている
あなたはわたしとも繋がっている
あなたは自分の本音を語った
それについて わたしが答えた
それが証拠だ
あなたはもっと開きなさい
あなたはもっと
自分の本音に耳を傾け
自分の本音を語りなさい
無視をせず 胡麻化さずに
そうすれば
あなたはもっと繋がれる
そして気が付くだろう
これまでずっと繋がっていたことに
誰とも離れていなかったことに
分かれはなく
いまもそばにいることに
その喜びに浸りなさい
※詩作期間:2024年4月22日~2024年6月19日
□□ 自己フィードバック □□
◇ 良かった点
詩を書き続けていること
自分の詩作スタイルを見つけたこと
世界観が出てきたこと
苦悩が表現できるようになってきたこと
◇ 改善点
もっと自分の想いに適した言葉選びをすること
一文字一文字に思いをリンクさせエネルギーの密度を上げる
滅亡した国の男にもっとなりきること
無理に神の詩を綴ろうとしてノイズを入れないように
◇ 総評
今回は、2か月ほどかけてゆっくりと詩作をしていった。この期間での大きな変化は、人間と神の詩による対話というスタイルを見つけたこと。叙事詩『すべてが詩からはじまる国』の一人の男になり切り、苦悩や想いを神にぶつけ、それに神が答える。その詩の綴り方は、僕の世界観を表現できる非常に面白い手法だと感じている。神の詩が降ってくるのを待ち、それを書き起こせばいいだけなのだが、これが時として、僕の意図が入り込んでしまいそうになる。神の言葉を僕の言葉に変換してしまいそうになる。それに気づき、排除し、神の詩そのものとして綴ることが難しいところ。
人間の詩に関しても、空想世界の男になりきって本音を綴り切れていない。一人称を「わたし」としているが、この滅亡の淵に立たされた男は、本当に「わたし」と綴るだろうか? やりきれない 抑えきれない怒りや不安をもっとストレートに神にぶつけるのではないか。そう考えると、人間の詩の文面が奇麗すぎる。もっとこの男の感情の爆発みたいなものを表現したい。
人間の詩 神の詩 これからの詩作が自分でも楽しみだ。