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物探おんせん漫遊記

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物理探査を実施した国内外のフィールド調査の時に出会った温泉を紹介します。
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記事一覧

物探♨漫遊記 まとめ#1

温泉記事のまとめです。仕事関係で印象に残った温泉を取り上げています。秋も深まり、温泉に入るには良い時期となりました。温泉ツアーの役には立たないと思いますが、ご参考まで。

♨漫遊記#18 南阿蘇・久木野温泉

南阿蘇村の久木野温泉は、いまでこそ数ヶ所ありますが、30数年前には1つも存在しませんでした。久木野温泉は合併前の旧・久木野村にある温泉ですが、当時は阿蘇の”温泉の空白地帯”でした。当時の村長さんは、温泉に並々ならぬ熱意を持っていて、温泉を核にした村おこしをしたいと考えていました。 そこで白羽の矢が立ったのが、九州大学の物理探査学研究室です。当時の教授が久木野村からの依頼を受けて、温泉探査をすることになりました。もちろん私も調査に参加しました。当時は、電気探査・シュランベルジ

♨漫遊記#17 白鳥温泉・上湯

白鳥温泉は、えびの市街地からえびの高原に向かう途中にあります。白鳥温泉は、上湯と下湯の二ヶ所に分かれていて、私が行ったのは上湯のほうです。白鳥温泉上湯は、西郷隆盛が訪れたことでも有名で、征韓論に敗れて故郷に戻った西郷隆盛が心身を癒しに訪れ、三ヶ月間も逗留したという由緒ある温泉です。 宮崎県えびの市にあるえびの高原には、MT法探査機の試験調査で2度ほど訪れました。最初に行った時は、”水不足?”のため営業が中断されていましたが、二度目の調査の時には営業が再開されていたので、フィ

♨漫遊記#16 黒川温泉

黒川温泉は、熊本県阿蘇郡南小国町にある温泉です。この温泉郷は、 阿蘇山の北に位置していて、南小国温泉郷の一つを構成しています。黒川温泉は全国屈指の人気温泉地で、2009年版ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで、温泉地としては異例の二つ星で掲載されました。 黒川温泉に初めて泊ったのは、30数年前でした。その頃は今ほど人気のある温泉地ではありませんでした。しかしその後、木製コースターのような『入湯手形』が考案され、これが黒川温泉の人気に火を点けました。入湯手形を購入すると、2

♨漫遊記(番外編) テルマエ

 テルマエ(thermae) は、”熱い”という意味のギリシア語の形容詞 θερμός (thermós)に由来し、元々は温泉や熱いお湯をはった浴槽を意味しました。それが、ローマ帝国時代に大型化した公衆浴場を指すようになりました。  テルマエは、ローマ人にとって生活の重要な一部だったようで、公の施設として建設され、貧富の差を問わず誰でも利用できたそうです。テルマエの中では、飲食、運動、読書、商売、哲学的議論などができたみたいです。さすがに”哲学的議論”ができる公衆浴場は日本

♨漫遊記#15 三朝温泉

 三朝温泉は、鳥取県の山中・東伯郡三朝町にある、山陰地方でも有数の人気の温泉地です。三朝の由来は、『三たび朝を迎えると元気になる』効能抜群の温泉です。この温泉には地元はもちろん、その効能を求めて県外からも多くの人が足を運びます。三朝温泉には、科学研究費補助金・重点領域『遺跡探査』に採択されたときに、遺跡(前方後円墳)の見学ツアーの宿泊先として泊ったことがありました。  三朝温泉は、高濃度のラドンを含む世界屈指のラドン泉(放射能泉)として知られていて、ここの温泉水は”奇跡の水

♨漫遊記(番外編) 強羅温泉

 強羅温泉には2度ほど行ったことがありますが、物理探査のために行ったわけではありません。強羅温泉には、とある研修のために行きました。北海道や東北、九州には地熱発電所があって、その地域には地熱探査の関連で行くことは多いのですが、関東周辺には地熱発電所が無いのでほとんど調査に出向いたことはありません。そのため、有名な温泉地である熱海や草津などにも、仕事で行ったことがありません。強羅温泉も有名な温泉地ですが、その研修で行くまでは、”ごうら”という読み方さえも知りませんでした。  

♨漫遊記#14 指宿の砂蒸し温泉

 鹿児島県の薩摩半島の先端にある指宿には、世界でも珍しい天然砂むし温泉があります。この砂蒸し温泉は、海岸に自然湧出する豊富な温泉を利用しています。天然砂むし温泉の泉質はナトリウム塩化物泉で、神経痛・リウマチ・腰痛・五十肩・膝関節痛・脳卒中後麻痺・骨折・冷え性・更年期障害等に効くそうです。  指宿に行ったのは、近くの山川地熱発電所の周辺で流体流動電位法を実施するためでした。宿泊したのは、海岸近くの民宿でしたが、直ぐ近くに砂蒸し温泉がありました。年中無休と書いてあったので、調査

♨漫遊記#13 白子温泉

 千葉県茂原市の関東天然瓦斯開発株式会社さんの天然ガスの井戸をお借りして、流体流動電位法の実験を実施したことがありました。この実験は、石油の二・三次回収のモニタリング用の測定システムのテストとして実施しました。茂原には良い宿が無かったので、九十九里浜のほぼ真ん中にある白子温泉に泊まることにしました。  白子温泉の名前には、白の字が入っていますが、お湯は真っ黒でした。これは、この温泉水中にヨウ素が多量に含まれているからです。今までには、硫黄泉のような真っ白な温泉は何度か入った

♨漫遊記#12 筋湯温泉

 大分県玖珠郡九重町筋湯温泉は、桶蓋山の山麓標高1000mの山峡に温泉が湧く温泉街です。魅力的で個性溢れる宿が30件近く点在し、1000年以上の長い歴史を誇ります。歴史を紐解けば、開湯は958年にまで遡り、温泉地として開かれたのは1658年になるそうです。しかし、2回も大火事があり、温泉街のほとんどが消失したこともありました。復興には血のにじむ努力が続けられ、現在の筋湯温泉が形成されました。  筋湯という名の由来は、白壁造りでどっしりと建てられた共同浴場「うたせ大浴場」の湯

♨漫遊記#11 宝泉寺温泉

 大分県九重町にある宝泉寺温泉には、物理探査のフィールド調査のためによく泊まりました。  最初にここに泊まったのは、出光地熱開発がカナダのフェニックス社に依頼したMT探査の時でした。私は、外国人クルーの探査の手伝いをするバイトとして、ここに泊まりました。全員、英語しか喋れませんので、最初からコミュニケーションに苦労しました。バイト期間は2週間くらいでしたが、最後まで英語は上達しませんでしたが、本物のMT調査を間近で見ることができて、とても有意義なバイトでした。  2回目は

♨漫遊記#10 熊本・地獄温泉

 熊本県の南阿蘇村に地獄温泉と言う恐ろしい名前の温泉があります。この地獄温泉の代名詞である“すずめの湯”は、PH2.6の強酸性の硫黄温泉です。この温泉は、究極のかけ流しで、足元からプクプクと源泉が湧き出しているので、混じりっけなしの自然の状態で入ることができる、まさに奇跡の温泉です、この湯につかると、硫黄を含んだ温泉がじんわりと肌にしみ込むそうです。  足下からプクプクと湧き出したお湯は、温泉の表面でピチピチとはじけます。次から次へと弾ける音が、まるで雀が鳴いているように聞

♨漫遊記(番外編) 法華院温泉

 久々の温泉の話です。今回の温泉は、探査ではなく遊びで行ったので、番外編にしています。  大学院の修士1年の時に、仲の良い同級生から「今度、九重の温泉に行くけど、一緒に行かないか?」と誘われました。温泉は特に好きではありませんが、暇だったので一緒に行くことにしました。その同級生は九大の春日キャンパスに通っていたので、今回の温泉ツアーは、そこの関係者(職員や近所の居酒屋の店長?)と一緒になるとのことでした。「九重の温泉」としか聞いてなかったし、車で行くと言うので「楽ちんだ」と

♨漫遊記#9 秘湯・鬼首温泉

  ”鬼の首”といった恐ろし気な名前の鬼首(おにこうべ)温泉は、JR鳴子温泉駅から車で約30分行ったところにあります。小さな温泉郷なので、鳴子温泉郷に含んで紹介されることもあります。鬼首温泉郷は、太古にできた鬼首カルデラ内にあり、このカルデラ内には写真のような間欠泉や地獄谷などがあります。片山地獄には、豊富な地熱エネルギーを利用した鬼首地熱発電所も存在します。周囲には、禿岳(かむろだけ)や荒雄岳があり、須金岳の麓にはテニスコートやキャンプ場、スキー場などのスポーツ施設も充実し